ソーシャルメディアマーケティングの具体的戦術:ソーシャルメディアマーケティングの時代(2/2 ページ)
ソーシャルメディアマーケティングの戦略を立案する場合、ソーシャルメディアの特性を理解した上で、目標数値に落とし込む必要がある。マーケッターが最低限理解しておくべきポイントを整理しよう。
数値目標は臨機応変に設定
アフィリエイトやメールマガジンの代替策としてソーシャルメディアマーケティングを実施する場合は、(1)指定した企業サイトへの送客数(指定したサイトに誘導するソーシャルメディア上のリンクのクリック数)、(2)送客によって発生した購買件数や金額――を目標として設定しておきたい。
CRM(顧客関係管理)やブランディングを目的とする場合に重要なのは、リーチの広さや深さである。Twitterであれば、フォロー/フォロワー数、「リツイート(RT)」(ほかのユーザーに引用された投稿)数などを組み合わせて、目標を設定するといい。
ソーシャルメディア上の口コミの中で、自社ブランドがどれだけツイート(つぶやき)されているかを知ることは、ブランディングを考える上で非常に重要だ。競合他社と自社のブランドに関するツイート数を計測することで、ソーシャルメディア上でのブランド認知をリアルタイムに比較していく方法も考えられるだろう。
ストリーム時代のソーシャルメディアの4要素
ソーシャルメディアマーケティング戦略の立案には、(1)時間、(2)場所、(3)事件性、(4)五感――という4つの要素を加味しておく必要がある。ソーシャルメディアのリアルタイム性がマーケティングの目標達成と大きく関係してくるからだ。
時間
ソーシャルメディアにおける情報伝達の基本は、タイムラインという流れ(ストリーム)である。いつどんな情報を流せば目標を達成できるかという時間への配慮が重要になる。例えばマクドナルドや吉野家がランチタイムにメニューの情報を配信すると、顧客をつかむことにつながる。逆に価格の高いフランス料理のメニュー情報を昼に配信しても、思ったような効果は上げられないはずだ。
場所
iPhoneでソーシャルメディアに所在情報を投稿すれば、自分が現在どこにいるかを知らせられる。モバイル端末によるソーシャルメディアの利用も増え、ユーザーはどこからでもソーシャルメディアにアクセスできるようになった。場所を含むメッセージは、その付近にいる人にとって価値のある情報だ。
話題性
話題性のある事件が発生すると、Twitterのタイムラインは瞬間的にその内容で埋め尽くされる。例えば企業がソーシャルメディアを活用したイベントを仕掛ける場合、利用者がタイムラインを眺めやすく、メッセージをRTしやすい時間帯を選んだり、関連する「ハッシュタグ(#)」をあらかじめ知らせたりしておくことが大事だ。
五感
ソーシャルメディアの口コミが、五感(見る、聞く、話す、触る、味わう)を基にしたテキストで共有されていることも意識しておこう。例えば「眼鏡」という単語は、インターネット上で「メガネ」や「めがね」と記述される。これらは異なるキーワードだ。
またSNS「mixi」の検索単語を調べると、「mixi」「mixy」「ミクシー」「ミクシィ」など表記が揺れていることが分かる。目や耳などの五感を通じて得た不完全な情報が、あいまいなまま表記されている証拠だ。
日本人が用いるテキストは、漢字やひらがな、カタカナに加え、半角や全角の英数字もある。こうした言語の違いを認識しておくと、メインコンテンツがテキストであるソーシャルメディアで口コミを広められる。
ブランドは目と耳から入り、口と舌と指から出力される。ソーシャルメディア上の情報のほとんどは人間の指を経由してテキスト化されたものである。こうした表記の揺れをどう吸収し、ソーシャルメディアマーケティングに取り入れていくかを考えることは、重要な戦略の1つである。
著者プロフィール 小川浩(おがわ ひろし)
モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。商社にて東南アジアを中心に活躍後、1996年にマレーシアにて独立。帰国後、日立製作所にてイントラブログシステムなどの企画を手掛けた後、サイボウズのネット関連子会社フィードパスのCOOを務める。2008年にモディファイを創業した。著書に『ソーシャルメディアマーケティング』などがある。同書に関連する情報は、Twitter上のハッシュタグ「#smm2010」で共有している
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