MicrosoftはTwitter買収を考えるべきではない
Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは、Twitterの買収は「必要かどうか、わたしにもよく分からない」と語った。そんなことは考えるべきではない、というのがわたしの意見だ。
米MicrosoftのCEO、スティーブ・バルマー氏は3月2日に米カリフォルニア州サンタクララで開催されたSearch Marketing Expo(SMX West)で講演し、マイクロブログサイトTwitterの買収については今後の可能性に含みを残した。このイベント時の動画をチェックし、次に、今年1月にラスベガスで開催されたConsumer Electronics Show(CES)でわたしが撮影した写真と比べてみて分かるのは、バルマー氏がこの赤いセーターをいかに気に入っているかだ。
まあ、服の話は置いておくとして、ここへきてオンラインコミュニティーをざわつかせているのは、このイベントでバルマー氏がTwitterについて発言した内容だ。同氏はMicrosoftの検索エンジンBingにTwitter投稿の検索機能を追加したことに言及し、次のように述べている。「この提携を行わないのは、わたしには考えられないことだ。だがTwitterを買収する必要があるのかどうかについては、わたしにもよく分からない」
MicrosoftはTwitterの買収を試みるべきなのだろうか?
わたしの答えはノーだ。
では、2008年の出来事を振り返ってみよう。当時、Microsoftは株式と現金合わせて446億ドルでYahoo!を買収しようとしていた。この取引が成立していれば、MicrosoftはGoogleに戦いを挑むためのより堅牢なプラットフォームを手に入れていたはずだ。だがIT大手が別のIT大手を事実上丸飲みしようという試みの問題点をめぐり、アナリストからはただちに警戒の声が上がり始め、結局、この買収の試みは不成立に終わった。おそらくMicrosoftとYahoo!の幹部らも安堵のため息をもらしたに違いない。
Twitterの買収額ははるかに少なく抑えられるだろうが、もしこの買収が実現したとしても、Yahoo!の場合と同様、Microsoftが既存の提携関係から得られる以上の何か具体的なメリットを享受できるとは思えない(そもそもこれはTwitterが買収に応じればの話だ。Twitterの共同創業者であるビス・ストーン氏からわたしがこれまでに聞いてきた話からすると、Twitter自身は今後もほぼ永久に独立を維持したい意向のようだ)。
ここはやはり、Yahoo!の買収話が最終的に落ち着いた先を考えてみるといいだろう。両社は結局10年間の検索広告提携を締結し、Yahoo!のバックエンド検索エンジンとしてBingを採用する方針を決定、MicrosoftはYahoo!の買収を通じて獲得していたであろうメリットの大半を提携のみで手に入れることができた。しかも、買収のほんの一部のコストでだ。
もちろん、Twitterを買収すれば、ほかの企業が同様の取引を交わすのを阻止することはできる。だが、Twitterの実際の価値を考えてみる必要があるだろう。ストーン氏の最近の報告によると、Twitterの登録アカウント数はこの1年で1500%増加しており、Twitterの従業員数は現在140名強だというが、このマイクロブログサービスが単なる流行ではないということを示すものは何もない。HubSpotが昨夏発表した調査報告では、Twitterユーザーの半数以上が実際には投稿を行っていないことも明らかとなっている。またGoogleがGoogle Buzzで立証したように、同様のサービスを開発して提供することはさほど難しいことでもない(ただし、そうしたサービスをメールアドレスとリンクさせたりすれば、すぐさまプライバシー擁護団体から猛反発をくらうことになりかねないが)。
Twitterとの関係は提携に留めておくほうが、Microsoftにとってはずっと好都合だろう。
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