オープンソースの逆襲:エリック松永のICT事変(3/3 ページ)
情報システムの構築では、ITベンダーとユーザー企業のコミュニケーションにズレが生じることがよくある。ここでOSSの仕組みに着目してみると、特に小さいプロジェクトにおいて「OSS流」のソフトウェア販売に優位点を見つけられる。
OSS流の流れを作る社団法人が登場
2月16日、経済産業省の討議ウェブサイトを、無償公開ソフトウェア推進団体が構築というニュースが流れました。このプロジェクトは、7人のソフトウェアプロフェッショナルで運営される社団法人オープンビジネスソフトウェア協会が受託して構築したもので、データセンターからSaaS(サービスとしてのソフトウェア)で提供されています。顧客のニーズを満たすために、コスト、性能ともに最適なIT構築を行うという目標を掲げ、7人のソフトウェアプロフェッショナルが、要件定義から設計、開発まで一括で行った先進事例です。
まさにOSS流の考え方を実現したモデルといえます。今後、いたずらに海外のソフトウェアの幻想を追い続け、裏切られ続けるのではなく、このような職人気質の顧客目線に立ち、きちんとシステムまたはサービスを作りきるようなシステム開発が、日本のIT産業をさらに強化させるきっかけになるべきでしょう。
モノ作りの職人よ、目を覚ませ
OSSの利点はすべて、製品をソースコードレベルで深く理解しているからこそできる芸当です。開発という苦労を知り、顧客の求めるものを提供したいというプロ意識が武器になるのです。
しかし、現状はというと、いつの日かプロジェクトが巨大化し、提供者側の効率を追い求めるがゆえに、製品を十分理解して顧客に適したものを提案するようなユーザー目線にたったシステム構築が行われなくなってきています。もちろんOSS流のシステム構築が、どんな規模のシステム構築でも可能なわけではありません。小じんまりしているからできるというのも事実です。
顧客のシステムを少しでも効率的に、低コストで構築しようとする姿勢は見習うべきです。顧客側も、すべてをOSS化すべきかという極論ではなく、こじんまりとしたシステムからでもOSS流のシステム構築を経験し、それを大規模システムにどう生かすのかを考えるのも重要だといえます。
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