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IBM Cloudの国内提供は2010年末――Tivoliのサービスマネジメントが礎にIBMのクラウドCTOに聞いた

IBMでクラウド担当CTOを務めるクリストフ・クロークナー博士が来日。“IBM Cloud”の国内提供を2010年末と表明し、特に開発業務の大半はクラウド上で行われることになるだろうと述べた。

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 5月18日、IBMでクラウドコンピューティングプラットフォームのCTOを務めるクリストフ・クロークナー博士がPulse Japanの開催に合わせて来日。報道陣に対し「IBMのクラウドへのアプローチ」について説明した。


IBMのCTO、クリストフ・クロークナー博士。ラウンドテーブル会場は日本IBM箱崎事業所内に新設された「クラウドショーケース」。ユーザーやパートナーへのデモや研修、また各種検証作業に用いられる。バックボーンは幕張データセンターに置かれ、ショーケースのインフラ自体がクラウド化されている

 クロークナー博士はクラウドについて、「ITを提供する側と利用する側の関係を大きく変える手法として、国や地域を問わず、関心を持たれている」と話す。その上でユーザーへの浸透は、業務の最適化/運用モデルの選択/統合化されたサービスマネジメントという、3つの階層で進めるべきと見解を示す。

 「インフラを一気にクラウド化するというより、既存のIT基盤に対し疎結合である業務システムから、クラウドを導入するケースが多い。具体的には開発・テスト環境の構築から“業務の最適化”を行うと、効果を上げやすい」(クロークナー博士)

 3年前のこと、博士は約2万5000人を数えるIBMの開発スタッフを統括する立場にあったというが「グループをまたがる開発、検証環境を都度用意するのは、非常に手間が掛かった」と振り返る。だが現在は、あらかじめ設定されたサービスカタログから、開発者が必要なリソースを申請するだけでオンデマンドに環境が割り当てられるといい、「コストだけでなく、テストのスピードや品質も高まった」(クロークナー博士)

 クラウドの運用モデルについては、大きくパブリック/プライベート/ハイブリッドから選択する形になるが、どのモデルにするのかを決定する要素は、ユーザーとなる企業が必要とするデータ管理手法と、セキュリティによるところが大きい。クラウド上で扱うデータに高いセキュリティポリシーを求めるのであれば、ファイアウォールの内側、つまりプライベートクラウドを選択するべきであろう。だが間接部門で利用するコモディティ化したサービス――例えば立替経費の申請など――については、パブリッククラウドが適している。


クラウドのデプロイモデル。「シェアードクラウドモデル」の具体的な利用例としては、金融機関が特定の条件の顧客情報を共有したり、医療機関が診療情報を共有しつつ治療に当たったりというケースがあるという

 クロークナー博士が強調するのは、「どのクラウドパターンでも、それを“下支え”しているのはサービスマネジメントだ」ということだ。「ユーザーによるセルフサービス、セルフヘルプを前提に、ITリソースにアクセスできる仕組み作り――製品としてそれを担うのがTivoli(のProvisioning Manager)だ」と紹介する。

 特に日本のユーザーがクラウドに期待する要素としては、“コスト削減”が大きい。だがクラウド化によって成し遂げられたコスト削減効果の70%から80%は運用の自動化によるものだといい、「それをIBMは、従来から“ITの産業化(Industrialization)”として説明してきた」(クロークナー博士)


 当日は、既に国内での提供が表明されたIBM Cloudについても話題が及んだ。クロークナー博士は提供時期について「2010年の年末」とし、先行するパブリッククラウドサービスに対しては「クラウドでもオンプレミスでも、IBMのユーザーであることに変わりはない。エンタープライズ市場にフォーカスしたサービスとして、サポートやサービスレベルの点で“特別な味付け”を図っていく」と意気込みを述べる。

 「間もなくデベロップメント業務の大半は、確実に、クラウド上で行われることになるだろう」(クロークナー博士)

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