大阪ガスのクラウド活用──持続可能、再生可能なシステムを目指して:第4回 ITmedia クラウドコンピューティングセミナー レポート
6月3日、「第4回 ITmedia クラウドコンピューティングセミナー」が大阪・梅田で行われ、基調講演にオージス総研の平山社長が登場し、大阪ガスのクラウド活用について話したほか、アイシロン・システムズやマイクロソフトがクラウドを支える技術・製品を紹介した。
「グループ各社のITシステムは、グループ全体の経営戦略に合わせたり、求められる統制およびセキュリティのレベルに合わせる必要がある。そのためにはできる限り共通化すべきであり、最も有効な手段がグループクラウドだ」と話すのは、大阪ガスの情報システム機能子会社、オージス総研の平山輝社長だ。
6月3日、「第4回 ITmedia クラウドコンピューティングセミナー」が大阪・梅田で行われた。基調講演に登場したオージス総研の平山社長は、情報システムの分野から「地球環境保全」という大阪ガスグループの企業理念を実現しようとしている。同社は、「持続可能」「再生可能」なシステムに求められる考え方として「百年アーキテクチャ構想」を掲げ、しっかりとした基本構造をつくるための「モデリング」と、柔軟なつくりを実現する「SOA」をベースとし、グループを挙げてシステムの統合と標準化、そしてサービス化(グループクラウド化)に取り組んでいる。
ただし、平山社長はクラウドが万能と考えているわけではない。
「共通化すべきものはグループクラウドで提供し、さらにセキュリティレベルやサービスレベルで許容できるものはパブリッククラウドに移行していくが、弊社でいえば、料金システムのような巨大なシステムはオンプレミスの環境のまま、SOAの仕組みで他のシステムと連携すればいい」と平山氏。
データセンターだけでなく、クライアント環境も含めた、「丸ごと仮想化」を進める同社だが、社内システムとグループクラウドやパブリッククラウドを組み合わせる「クラウドインテグレーション」が今後重要になるとみており、統合認証システムの構築などに力を注いでいる。
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クラウドで脚光を浴びるスケールアウトNAS
大阪ガスのように「社内ITのまるごと仮想化」を進めていくうえでは、ストレージも避けては通れない課題となるだろう。
かつてシステム統合の流れの中で登場したネットワーク接続型のSAN(Storage Area Network)やNAS(Network Attached Storage)も万能ではない。前者はファイバーチャネルというストレージ専用のネットワークを構築しなければならず、そのための専門知識を必要とし、管理も非常に厄介だ。後者は簡単に導入できる反面、ストレージアイランドを生みやすい。企業内のプライベートクラウドであれ、グループクラウドであれ、さらにはパブリッククラウドであれ、需要に応じて拡張や縮小が柔軟に行えるストレージが欠かせない。
「サーバのグリッド技術をストレージに持ち込んだのが、われわれのソリューション」と話すのは、スケールアウトNASのリーダーであるアイシロン・システムズの関根悟営業本部長兼マーケティング本部長。先ごろも調査会社Gartnerは、 ミッドレンジおよびハイエンドNASのリーダークアドラントとして同社を位置付けている。
NetAppやEMCだけでなく、HPやIBMも食指を動かすスケールアウトNASは、Webスケールのクラウドコンピューティングを支える技術として脚光を浴びつつある。ハードディスクとCPU、ネットワークインタフェース、OSなどを一体化したアプライアンスをTCP/IPのネットワークに接続していくだけで、物理的に別々のストレージ筐体でありながら単一のボリュームとして容量を増やしていけるからだ。
アイシロン スケールアウトNASは、ストレージ筐体1台ごとに異なるIPアドレスが振られるが、どこにアクセスしても1つの大きなドライブとして利用でき、需要に応じて3台から144台まで、最大10ペタバイトの容量まで段階的に1つのボリュームを拡張/縮小することができる。従来のストレージがボリュームの追加、データの移行、制御モジュールの交換という煩雑な管理が伴うのとは大きな違いだ。
「オンラインサービスを止める必要はなく、わずか60秒で増設できる」(関根氏)
もちろん、クラウドサービスとなれば、そのデータ保護も重要となるが、アイシロン スケールアウトNASは面倒なRAID設計も不要だ。OSである「OneFS」がファイルを、エラー検出と訂正のための情報も含めて、自動的に複数ノードに分割配置するため、ディスク障害はもちろんのこと、ストレージ筺体に障害が発生してもサービスを継続できるという。
「われわれの中核技術であるOneFSは、5世代目となる。大手ベンダーらがスケールアウトNAS市場に参入してきたが、われわれには一日の長がある」と関根氏は話した。
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クラウドコンピューティングを構築する際に必要な要件である、拡張性、可用性、コスト効率、シンプルな構成は、すべてスケールアウトアーキテクチャにより実現する。クラウドを構築するコンポーネントの中からストレージに注目し、スケールアウトNASを徹底解剖する。
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物理および仮想環境の一元管理が課題
マイクロソフトも包括的な仮想化と一元的な管理の必要性を訴求するベンダーの1社だ。
VMwareなどがリードしてきた仮想化ソフトウェアの領域に同社は2年前、Windows Server 2008に「Hyper-V」を標準搭載して参入した。昨年秋にWindows 7と同時に出荷されたWindows Server 2008 R2では、Hyper-Vも2.0にバージョンアップされ、より性能も向上している。国内の調査会社によれば、2009年に仮想化用途で出荷されたWindows Server 2008の69パーセントはHyper-Vが利用されており、Windowsではデファクトスタンダードの座を固めつつある。
Hyper-V 2.0の特徴は、さらなる性能向上だけではない。可用性の向上や省電力機能の実装も大きな強化点といえる。
「Live Migration」は、仮想マシンを止めることなく、オンラインの状態のまま、サーバ間を移動できる機能。共有ストレージがあれば、ユーザーは物理的なサーバが変わったことを意識することはない。プロセッサバージョンが異なるホスト間も移動できるため、サーバの入れ替えに効く機能だ。
また、物理マシンと仮想マシンを一元管理できる「Microsoft System Center Virtual Machine Manager 2008 R2」(SCVMM)も提供されている。このSCVMMを利用すれば、仮想マシンのイメージをテンプレートとして管理し、これを基に次々と仮想マシンを用意できるほか、Active Directoryと連動し、セルフサービスで仮想マシンを提供することもできるという。
マイクロソフトでWindows Serverのプロダクトマネジャーを務める田中啓之氏は、「三井物産では1000台以上のサーバを整理・統合するためにHyper-Vを採用し、Live Migrationによってダウンタイムのないクラウド環境を構築している」と話した。
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提供:アイシロン・システムズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2010年6月30日
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