VBAがモダンに? MicrosoftのLightSwitchに注目
一昔前、VBAで書かれた業務アプリケーションが多く存在していたが、それらは今日の環境に適応できているのだろうか。Microsoftが新たに提供しようとしている「Visual Studio LightSwitch」は、ExcelやAccessに精通したユーザーが開発する意欲をかき立ててくれるかもしれない。
Microsoftが新たに提供しようとしている開発ツール「Visual Studio LightSwitch」が静かな注目を集めつつある。
LightSwitchは、開発コード名で「KittyHawk」と呼ばれていたもの。8月23日にMSDN会員向けにパブリックβが公開される予定の同ツールについて、Microsoftは「ビジネスアプリケーション開発に向けたツール」としていることからも分かるように、既存のVisual Studioがターゲットとしていた層とは少し異なり、ExcelやAccessに精通したユーザーをターゲットにしている様子がうかがえる。
いわゆるRADツールであるLightSwitchだが、画面テンプレートや定型化されたコード、再利用可能なコンポーネントなどが用意されており、それらを組み合わせてアプリケーションを開発していくスタイルを採っている。
特徴的なのは、データソースとして、ExcelやSharePointのほか、SQL AzureやSQL Serverも選択できる点。コーディングが必要な部分は、C#やVisual Basic .NETを用いて行う。また、作成したアプリケーションをデスクトップアプリケーションだけでなく、Silverlightアプリケーションとしてビルドできるという。
中堅中小規模の企業で、ExcelやAccessをベースとするアプリケーションを利用しているケースはいまだ少なくない。あるいは、Excelマクロを学習し、業務に役立つプログラムを書き上げるといったことも、一昔前ではひんぱんにみられた。こうしたプログラムはVBAで書かれており、今日からするとまるで柔軟性がないが、ではそれをモダンな開発環境でやるとしたら? その答えがVisual Studio LightSwitchなのではないかと思われる。その意味では、ExcelもしくはAccessに精通したユーザーが、このツールを使って小規模な業務アプリケーションを作成するといった流れが生まれるかもしれない。
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