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NEC レノボ・ジャパン グループ発足、“捲土重来”を期すNECのPC事業ニュース解説

「NEC レノボ・ジャパン グループ」の発足は、NECのPC事業にとって捲土重来を期す新たな戦いの始まりでもあるようだ。

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国内PCシェアを25%から30%へ

 NECと中国レノボ・グループが7月4日、両社の国内PC事業を統合した「NEC レノボ・ジャパン グループ」を同月1日に発足させたと発表した。両社が今年1月に締結した戦略的提携を具現化させたものだ。

 同グループは、レノボ51%およびNEC49%の出資によって設立された合弁会社「Lenovo NEC Holdings B.V.」(登記上の本社はオランダ)、NECパーソナルプロダクツのPC事業を分社化して設立された新会社「NECパーソナルコンピュータ」、レノボの日本法人「レノボ・ジャパン」の3社で構成される。NECパーソナルコンピュータとレノボ・ジャパンは新合弁会社の100%出資子会社となる。

 新合弁会社の会長には、現レノボ・ジャパン社長のロードリック・ラピン氏が就任。社長にはNECパーソナルコンピュータ社長の高須英世氏が就任した。

 ラピン氏は発表会見で、「グローバルに事業を展開するレノボのスケールメリットと、NECの日本市場に特化した技術・サポート力を合わせることによって、より革新的な製品・サービスをユーザーに提供できるようになる」と両社提携の意義を強調。高須氏も「両社を合わせた国内PC市場のシェアを、現在の約25%から今後3年以内に30%以上へ引き上げたい」との意気込みを語った。

 このほかの発表会見の内容については、すでに報道されているので関連記事などを参照いただくとして、ここではPC事業の将来を見据えたNECの思惑に焦点を当ててみたい。

海外展開へ向けた新たな戦い

 NECがレノボとPC事業を統合した最大の理由は、両社によるスケールメリットを最大限活用することにある。レノボのPC出荷量はNECの約10倍あることから、例えばレノボの部材調達力を生かせば、製品の価格競争力を大幅に高めることができる。

 さらに、NECにとって今回の動きの背景には、PC事業が手詰まりになってきていた事情もある。同社のPC事業はこれまで30年余りにわたって国内最大規模を誇ってきたが、その過程において海外展開をうまく進められなかったことから、世界市場で事業を展開する競合との出荷規模の差が広がるばかりとなっていた。

 それでもさまざまなコスト削減努力によって、現状ではPC事業として何とか営業黒字を確保しているとみられるが、今後も薄利多売の消耗戦が続きそうなPC市場で従来と変わらぬまま事業を継続するのは、収益的にも限界を迎えつつあったといえる。

 その意味でレノボとの提携は、NECにとってPC事業を抜本的にテコ入れして国内市場での勢力を維持・拡大するとともに、海外展開へ向けて“捲土重来”を期す新たな戦いに挑んだことを意味する。

 発表会見後、同グループの幹部からこんな話を聞いた。

 「NECはこれまで、顧客企業が海外事業展開を広げる中でグローバルにPCを提供できる手立てがほとんどなかった。レノボとの提携によって、これでNECさんからPCをスムーズに調達できる、と顧客企業に言ってもらえるようになった」

 出資比率からして、ゆくゆくは手放すのでは、とも囁かれるNECのPC事業。一方で、体裁にこだわらず実益を取りに行ったと見る向きも。手始めは国内事業のテコ入れだが、レノボとの提携には海外展開に向けたNECの捲土重来を期す強い思いが込められている。


会見に臨むLenovo NEC Holdings B.V.のロードリック・ラピン会長(左)と高須英世社長

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