米ABC、Foxconnの労働状況を取材した番組をネットで公開
テレビネットワーク大手のABCが、Appleの依頼で制作したFoxconnの工場取材番組をWebサイトで公開した。従業員がiPadを手で組み立てる様子やFLAメンバーのインタビューを視聴できる。
米テレビネットワーク大手のABCは2月22日(現地時間)、米Apple製品の受託製造で知られる台湾のFoxconn Electronicsの中国工場を取材した番組をWebサイトで公開した。
この動画は、テレビの報道番組「Nightline」で前夜に放映したもの。取材した同番組のアンカー、ビル・ウィアー氏によると、この取材は米Appleからの依頼で実現したという。ABCは、Appleの故スティーブ・ジョブズ氏の遺族が筆頭株主である米Walt Disneyの傘下にある。
Foxconnでの従業員の自殺や工場での爆発事故などが報道され、“倫理的な”iPhone製造を求めて25万人以上のAppleユーザーがAppleストアで抗議運動を行うなど、Appleへの批判が高まっている。Appleはこうした動きを受け、1月に公正労働協会(FLA)に加盟し、2月にFLAにFoxconnを含む受託工場の監査を依頼した。
番組ではiPhoneやiPadの組み立てラインや食堂が紹介され、ウィアー氏は従業員やFoxconnの幹部、監査に訪れたFLAのメンバーなどにインタビューしている。iPadのかなりの部分がロボットではなく手作業で組み立てられていることや、時給が2ドル以下であることなどが明らかになった。昼休みに食堂でうつぶせになって寝る従業員の様子には、「中国では昼寝の習慣がある」というFoxconn幹部のコメントが被さる。
Foxconnの幹部、ルイス・ウー氏は、もしAppleが従業員の給料を倍にするよう求めたらどうするかという質問に対し、検討すると答えた。
Appleへの批判の引き金の1つになったFoxconn訪問記(PDF)を公開しているマイク・デイジー氏は、この番組は実態の一部しか紹介できていないとしつつも、世論の圧力がこうした番組を実現したと評価し、AppleやFoxconnを今後も注視する必要があるとしている。
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