GoogleとMicrosoftら、HTML5対応のコンテンツ暗号化APIの標準化を申請
コンテンツ配信サービスを充実させたいGoogle、Microsoft、Netflixの3社が、HTML5に対応するDRMのようなコンテンツ保護機能の標準化を申請し、物議を醸している。
米Google、米Microsoft、米Netflixの3社は2月21日(現地時間)、Web標準化団体のWorld Wide Web Consortium(W3C)に対し、暗号化された動画や音楽のHTML5での再生を可能にするためのAPIの標準化を求めるドラフトプロポーザルを行った。
HTML5では、FlashやSilverlightなどのプラグインを使わずに動画や音声を再生できる(Webブラウザによる対応が前提)が、そうしたプラグインと異なり、デジタル著作権管理(DRM)の方法は定められていない。そのため、DRMで保護されたコンテンツを提供するには、Webブラウザや端末別に対応させる必要がある。これは、コンテンツ提供側にとっては大きな負担になっている。
Googleらが提案するシステムでは、APIをWebブラウザに追加することで、HTMLのmediaエレメントに変更を加えることなく、あらゆるコーデックやコンテンツ暗号化をサポートするという。これは、HTMLにDRMを追加するのではなく、キーの復号を行うためだけのシステムだとしている。
このAPIでHTMLプラットフォームの“フラグメンテーション”を解消することで、コンテンツサービスによるHTML5採用を促進できるとしている。
Googleは「Google TV」とYouTubeで、Microsoftは「Xbox Live」で、Netflixはそのストリーミングサービスで、それぞれコンテンツ配信サービスを行っている。こうしたサービスが映画会社やテレビ局から人気のコンテンツを獲得するには、安全なコピー防止策の実装が必要だ。
このプロポーザルは、W3Cのメーリングリスト上で早くも物議を醸している。W3CのHTMLワーキンググループの中心的メンバーで、Googleの従業員でもあるイアン・ヒクソン氏は「このプロポーザルは“非倫理的”であり、認めるべきではない」とし、たとえ非倫理的ではないとしても、この方法では強固なコンテンツ保護は提供できないとして反対している。
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