BIOSレベルでPCの電力とセキュリティを制御する仕組みを出展 東芝:IBM Pulse 2012 Report
東芝は自社カスタムのBIOSとTivoli Endpoint ManagerによるPC管理の仕組みをすべてのビジネスPCに実装予定。国内では「暑くなる前」のリリースを目指す。
米国ラスベガスで開催されている米IBMの年次カンファレンス「Pulse 2012」には「Solution EXPO」として展示ブースが用意され、IBMのパートナー各社が出展している。日本からは東芝が参加し、夏に向けて国内で注目が高まる節電とセキュリティ機能を備えたビジネスPCをアピールしていた。
仕組みとしては「IBM Tivoli Endpoint Manager(TEM)」によるエンドポイント管理を基本とするが、東芝がBIOSレベルで実装するため、TEMと高いレベルの連携ができるという。節電については、部署ごとだけでなくPC個体ごとにログを取得でき、TEMのダッシュボードで全体の状況を確認できる。省電力設定については管理者からポリシーを適用でき、ユーザー側ではそのポリシーを変更できないようにも設定可能。東京精密と共同で行った実証実験では、PC利用のピークシフトなどにより47%の節電効果が得られたという。
セキュリティについては、あらかじめ設定したネットワークから外れた際にログオフする機能や、USBキーによるログイン/ログオフを備える。いずれもOSに制御を渡す前のBIOSレベルで制御するため、紛失時にデータが漏えいする危険性が少ないという。プリンタや記憶デバイスへの接続禁止機能も備える。
将来的には、HDDの障害を予測検知したり(現時点でもHDDの傾きのログなども取得できているとのこと)、顔認証やBluetoothデバイスでアカウント制御したりする機能を備える。特に顔認証やBluetoothによる管理は、ユーザーがPCの前を離れた時点でBIOSレベルのロックが掛かるため、「ログインした状態で盗まれる」という事態を防げるという。
インテルのvProとの違いとしては「BIOSレベルでのログ取得とTEMによる管理で、データをリアルタイムで可視化したり細やかにポリシーを適用したりできる」(東芝)とする。東芝はこの仕組みを「Smart Client Manager」として2012年中旬以降にリリースするすべてのビジネスPCに実装(間接販売用モデルの一部に未搭載の可能性がある)しグローバルで販売する予定。PCを購入した時点で管理ソフトウェアのライセンスも付与され、将来リリースされるオプションには有料の可能性があるとはいえ、ユーザーは追加投資なく節電・セキュリティ機能を利用できる。国内では「なるべく早く。暑くなる前」の時期のリリースを目指すという。
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