富士通は4月23日、企業のビッグデータ活用を支援する複合イベント処理(CEP)製品「Interstage Big Data Complex Event Processing Server V1」、エクストリームトランザクション製品「Interstage eXtreme Transaction Processing Server V1」、分析予測を行う「Interstage Business Analytics Modeling Server」を発表した。併せて、ビッグデータ関連サービスを並列分散処理や複合イベント処理を行う基盤製品群「Big Data Platform」と、情報分析に向けたミドルウェア製品群「Big Data Middleware」の2つに体系化した。
ビッグデータソリューションとしては既に今年1月にクラウドサービス「データ活用基盤サービス」をPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)型で提供している。今回の新製品はその機能を織り込んだオンプレミス型といえる。Big Data Platformの一製品であるBig Data Complex Event Processing Server V1は、富士通独自の高速フィルター技術により、大量のイベントを業務システムのマスターデータと自動的に照合して必要なイベントを絞り込むソフトウェア。高速フィルターに定義する絞り込みのルールを、業務で使う名称、用語で分かりやすく定義する。そのほか、Big Data Platformでは、今年2月に発売した、並列分散処理のOSS(オープンソースソフトウェア)「Apache Hadoop」に独自の分散ファイルシステムを統合してデータの信頼性を向上し、業務システムとのファイル共有でデータ転送を不要にして処理性能を向上した並列分散処理ソフトウェア「Interstage Big Data Parallel Processing Server V1」がある。
Big Data Middlewareを構成するのが、eXtreme Transaction Processing Server V1やBusiness Analytics Modeling Serverだ。前者は、インメモリ分散キャッシュ技術による高速処理と、最大3重化の冗長構成でデータを保障する信頼性を両立したソフトウェア。後者は、同社の機械翻訳技術「ATLAS」と時系列イベント解析技術を組み合わせて、高精度な分析予測を支援するソフトウェア。並列分散処理に対応した30種類以上のデータ分析処理部品によって、高度な分析予測を高速に実現する。これらに加えて、エクストリームトランザクション処理を支えるデータベース製品「Symfoware Server V11」を新たに強化した。
パートナー製品やOSSにも対応可能なシステムとして、活用シーンを広げていく。富士通の執行役員でソフトウェアインテグレーション部門 クラウドプラットフォーム開発本部長を務める今田和雄氏は、「顧客のデータ活用シーンに応じて多様なパターンを用意しなければならない。そこでビッグデータで利用されるオープンインタフェースを整備し、さまざまな製品を自由に組み合わせて使うことができるようにした。今後もオープン化に対応することで、世界中のビッグデータシステムと連携していく」とメリットを強調した。
価格は、Big Data Complex Event Processing Server V1が600万円(税別)から、eXtreme Transaction Processing Server V1が120万円から。クラウドサービスおよびオンプレミスを含めビッグデータ関連事業で年間1000億円の売り上げを目指す。 また、2012年度下期にはビッグデータ関連の新製品として、ソフトウェアとハードウェアを統合し、システムの運用管理までを支援するアプライアンスを発表するとしている。
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