インテル、“Ivy Bridge”こと「第3世代Core」を正式発表:第3世代がやってきたぞー!
22ナノメートルプロセスルールと3Dトライゲートトランジスタ技術を導入した、インテルの新世代CPUが登場する。デスクトップPC向けモデルのTDPは最高で77ワットとなった。
「ただのTickではない! Tick+だ!」
インテルは、“Ivy Bridge”の開発コード名で呼んでいた「第3世代Coreプロセッサー・ファミリー」を4月24日(日本時間)に発表した。今回登場するのは、デスクトップPC向けに「Core i7-3770K」「Core i7-3770」「Core i7-3770T」「Core i7-3770S」「Core i5-3570K」「Core i5-3550」「Core i5-3450」「Core i5-3550S」「Core i5-3450S」と、ノートPC向けに「Core i7-3920XM」「Core i7-3820QM」「Core i7-3720QM」だ。
Ivy Bridgeでは、Sandy Bridge世代のアーキテクチャを22ナノメートルプロセスルールに移行しただけでなく、3Dトライゲートトランジスタ技術を、インテルの量産CPUで初めて導入した。この技術の導入によって、Ivy Bridge世代のCPUはリーク電流を抑え、その結果、発熱と消費電力も抑制しながら、高クロック動作も可能にした。(記事掲載当初、仕様表に間違いがありました。おわびして訂正いたします)
| デスクトップPC向け第3世代Coreプロセッサーファミリー主要仕様(Standard Power モデル) | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| プロセッサーナンバー | Core i7-3770K | Core i7-3770 | Core i5-3570K | Core i5-3550 | Core i5-3450 |
| TDP | 77ワット | 77ワット | 77ワット | 77ワット | 77ワット |
| コア数 | 4コア | 4コア | 4コア | 4コア | 4コア |
| 同時処理スレッド数 | 8スレッド | 8スレッド | 4スレッド | 4スレッド | 4スレッド |
| ベースクロック | 3.5GHz | 3.4GHz | 3.4GHz | 3.3GHz | 3.1GHz |
| Turbo Boost Technology有効時最大 | 3.9GHz | 3.9GHz | 3.8GHz | 3.7GHz | 3.5GHz |
| DDR3 | 1600MHz | 1600MHz | 1600MHz | 1600MHz | 1600MHz |
| 3次キャッシュメモリ | 8Mバイト | 8Mバイト | 6Mバイト | 6Mバイト | 6Mバイト |
| 統合グラフィックスコア | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 2500 | Intel HD Graphics 2500 |
| グラフィックスコアベースクロック | 650MHz | 650MHz | 650MHz | 650MHz | 650MHz |
| ダイナミッククロック最大 | 1150MHz | 1150MHz | 1150MHz | 1150MHz | 1100MHz |
| Intel SIPP | 非対応 | 対応 | 非対応 | 対応 | 非対応 |
| vPro対応 | 非対応 | 対応 | 非対応 | 対応 | 非対応 |
| Intel VT-d | 非対応 | 対応 | 非対応 | 対応 | 非対応 |
| Intel TXT | 非対応 | 対応 | 非対応 | 対応 | 非対応 |
| デスクトップPC向け第3世代Coreプロセッサーファミリー主要仕様(Low Powerモデル) | ||||
|---|---|---|---|---|
| プロセッサーナンバー | Core i7-3770T | Core i7-3770S | Core i5-3550S | Core i5-3450S |
| TDP | 45ワット | 65ワット | 65ワット | 65ワット |
| コア数 | 4コア | 4コア | 4コア | 4コア |
| 同時処理スレッド数 | 8スレッド | 8スレッド | 4スレッド | 4スレッド |
| ベースクロック | 2.5GHz | 3.1GHz | 3GHz | 2.8GHz |
| Turbo Boost Technology有効時最大 | 3.7GHz | 3.9GHz | 3.7GHz | 3.5GHz |
| DDR3 | 1600MHz | 1600MHz | 1600MHz | 1600MHz |
| 3次キャッシュメモリ | 8Mバイト | 8Mバイト | 6Mバイト | 6Mバイト |
| 統合グラフィックスコア | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 2500 | Intel HD Graphics 2500 |
| グラフィックスコアベースクロック | 650MHz | 650MHz | 650MHz | 650MHz |
| ダイナミッククロック最大 | 1150MHz | 1150MHz | 1150MHz | 1100MHz |
| Intel SIPP | 対応 | 対応 | 対応 | 非対応 |
| vPro対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 非対応 |
| Intel VT-d | 対応 | 対応 | 対応 | 非対応 |
| Intel TXT | 対応 | 対応 | 対応 | 非対応 |
| ノートPC向け第3世代Coreプロセッサーファミリー主要仕様 | ||||
|---|---|---|---|---|
| プロセッサーナンバー | Core i7-3720QM | Core i7-3820QM | Core i7-3920XM | |
| TDP | 45ワット | 45ワット | 55ワット | |
| コア数 | 4コア | 4コア | 4コア | |
| 同時処理スレッド数 | 8スレッド | 8スレッド | 8スレッド | |
| ベースクロック | 2.6GHz | 2.7GHz | 2.9GHz | |
| Turbo Boost Technology有効時最大 | シングルコア | 3.6GHz | 3.7GHz | 3.8GHz |
| デュアルコア | 3.5GHz | 3.6GHz | 3.7GHz | |
| クアッドコア | 3.4GHz | 3.5GHz | 3.6GHz | |
| DDR3 | 1600MHz | 1600MHz | 1600MHz | |
| 3次キャッシュメモリ | 6Mバイト | 8Mバイト | 8Mバイト | |
| 統合グラフィックスコア | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4000 | |
| グラフィックスコアベースクロック | 650MHz | 650MHz | 650MHz | |
| ダイナミッククロック最大 | 1250MHz | 1250MHz | 1350MHz | |
Ivy Bridgeの基本構成は、Sandy Bridge世代とほぼ共通するが、それぞれのユニットで最適化や機能強化が図られている。PCI Expressインタフェースは第3世代に対応し、メモリコントローラはDDR3の1600MHz動作を標準設定でサポートするだけでなく、省電力駆動のDDR3L(Low voltage DDR3)も利用できる。また、統合グラフィックスでは、「Intel HD Graphics 4000」と「Intel HD Graphics 2500」が登場する。実行ユニットの数が、従来のIntel HD Graphics 3000の12基と比べて、Intel HD Graphics 4000で16基に増えた。なお、Intel HD Graphics 2500の実行ユニットは、Intel HD Graphics 2000と同じ6基となる。DirectX 11に対応し、Quick Sync Videoは2.0にバージョンが上がった。さらに、グラフィックスコアを利用してセキュリティ機能を強化する「Intel Identity Protection」を導入した。


クアッドコアを搭載するIvy Bridge世代のダイ。構成トランジスタ数は14億個。ダイサイズは160平方ミリメートルになる(写真=左)。統合したグラフィックスコアの進化もIvy Bridge世代の特徴だ。新たにセキュリティに利用する「Intel Identity Protection」を導入した(写真=中央)。すでに出荷しているIntel 7シリーズチップセットと組み合わせることで、第3世代PCI Expressや3画面の同時出力、Thunderboltサポートといった、Ivy Bridge世代で導入した新機能が利用できる(写真=右)デスクトップ向けモデルは、Sandy Bridge世代と同じLGA 1155に対応する。Intel 7 シリーズチップセットと組み合わせると、統合グラフィックスコアのみの構成でも3画面同時出力が可能などのIvy Bridgeに備える機能がフルで利用できる。それに加えて、Ivy BridgeをIntel 6 シリーズチップセット(ただし、Intel Z68 Express、Intel P67 Express、Intel H67 Express、Intel H61 Expressに限る)と組み合わせても利用できる。ただし、この場合、映像の同時出力は2画面までと、チップセットの制限で使えない機能も出てくる。
今回インテルが発表したモデルの1000個ロットあたりの単価は以下のようになる。
| プロセッサーナンバー | 価格 |
|---|---|
| Core i7-3920XM | 9万2330円 |
| Core i7-3820QM | 4万7850円 |
| Core i7-3720QM | 3万1840円 |
| Core i7-3770K | 2万7970円 |
| Core i7-3770 | 2万4770円 |
| Core i7-3770T | 2万4770円 |
| Core i7-3770S | 2万4770円 |
| Core i5-3570K | 1万8960円 |
| Core i5-3550 | 1万7270円 |
| Core i5-3550S | 2万1060円 |
| Core i5-3450 | 1万5500円 |
| Core i5-3450S | 1万5500円 |
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