開発現場の心を大切に KLab・安井氏:ネット企業で踏ん張るCTO(2/2 ページ)
海外に目を向けて事業拡大を図るソーシャルゲーム開発会社のKLab。そのビジネスを支えるインフラ基盤を担当するのが、CTO(最高技術責任者)でKラボラトリー所長の安井真伸氏だ。
一人のエンジニアとしての挑戦
今、当社はスタッフが急増していて、2〜3年前と比べて3倍ほどの規模になっています。KLabは、元々は小規模な会社で、数人でスタートし、100人くらいの規模がしばらく続きました。ですから、エンジニアに関しては、これまでは個人の技量に依存していました。何を作るにしてもすごい能力のある人が主体的に動き、すべて本人に任せていました。少人数のころはそれで良かったかもしれませんが、そうもいかなくなっているのが現状です。例えば、コーディング規約やリポジトリ管理、情報統制などに関する問題が出てきていて、好きなようにやれでは仕事が回らなくなってきています。
組織の規模が大きくなったときに、きちんと開発できる体制を整えなくてはならないという問題意識は以前からありましたが、そうした状況を改善する意識がますます高くなってきています。これが今年の大きなチャレンジといえるでしょう。
実際、現場の若手エンジニアの中から有志メンバーが集まり、現状をどう変革していくかについて議論しているようです。私の役目は彼らを後ろからサポートし、やる気を支えてあげる活動をすることだと考えています。
一方で、昨年にちょうど40歳という節目を迎えたこともあり、一エンジニアとしてソースコードをバリバリ書いて、モノ作りに挑戦したいという思いもあります。
一般的に歳をとると能力は落ちると言われているし、自分自身もそう感じています。今の自分がどこまで現場の役に立ち、精度の高いモノを作れるのかというのは興味があります。社内プロジェクトに絡んでもいいし、オープンソースにかかわってもいいでしょう。そうした中でどれだけ自分の力を発揮できるかを試してみたいです。(談)
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