米Oracleのマーク・ハード社長が来日し、3月25日に都内で報道陣からの質疑に答えた。
会見の冒頭、ハード氏は同社の事業戦略に触れ、(1)ITのベスト・オブ・リードの提供、(2)垂直統合型製品(同社では「エンジニアドシステム」と呼ぶ)の提供、(3)クラウドコンピューティングの推進、(4)業界別ソリューション――の4点に注力していると説明。日本向け投資としてデータセンターの拡充や人材採用などを推進していると述べた。
質疑応答での主なやり取りは以下の通り。
―― ITの適用分野が広がっているが、Oracleではどのように取り組んでいるか。
ハード ITのコンシューマ化がこの動きをもたらした。今は、数十年前のメインフレーム並みの性能を持つモバイルデバイスを子どもたちが携帯し、いつ、いかなる場所でもすぐにITサービスを手にできることを期待する。数年後には500億台ものデバイスがネットに接続されるようになるだろう。これはIT業界にとって挑戦だ。
ここでの課題はアプリケーションが古いことだ。これからの世界の変化を考慮しておらず、ユーザー体験の点からも再構築されなければならない。当社ではクラウドサービスやエンジニアドシステムなどを通じて、顧客企業のIT環境を簡素化する支援を行っている。そこで削減できたコストをアプリケーションの近代化に生かすべきだろう。やはりハードウェアとソフトウェアの統合、ユーザー体験の近代化が重要になると考えている。
―― 「テクノロジー企業」を標榜しているが、近年の業績をみると、ライセンスビジネスが中心になっているように思うが、ハード氏の見解は。
ハード ライセンスは、テクノロジーを活用する方法の1つにすぎない。クラウドサービスも同様だ。ライセンスの収益が新たなテクノロジーの原動力になり、実際にわれわれは研究・開発に年間50億ドルを投じている。
―― (一部報道で)DellのCEO就任を打診されたというが、それは本当か。
ハード わたしはOracleに非常に満足している。興味は無い。
関連記事
- 「コスト削減」と「革新」、二律背反を克服できるのはOracleだけ
「Oracle OpenWorld San Francisco 2012」が本格的に幕を開けた。午前の基調講演にはOracleのマーク・ハード社長が登場し、Engineered Systemsを核とした同社の「Simplify IT」戦略を説いた。 - “データ爆発”時代に企業はどう変わるべきか?
Oracle OpenWorld Tokyo 2012が開幕。初日の基調講演に登場した米Oracleのマーク・ハード社長は企業ITを取り巻く問題を説明し、「IT環境のシンプル化」の重要性を訴えた。 - Oracle決算、ソフト好調で11%増益だがハードの不調続く
Oracleの6〜8月期決算は、ハードウェア事業は引き続き不調だったものの、ソフトウェア事業が好調で11%の増益になった。9月30日から開催の「Oracle OpenWorld」では、クラウド事業に関する多数の発表を行うという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.