イノベーション時代のビジネスをリードするITインフラの最適化は今こそチャンス:IBM Pulse Japan 2013 Report(2/2 ページ)
モバイル・ソーシャル・ビッグデータ・クラウド――企業のビジネスに劇的な変化をもたらしている4つのキーワードを取り込んでいくためのITインフラの最適化に、今こそ取り組むべきとIBMは提唱する。
人、そして信頼
カンファレンスにはTivoliのユーザー企業であるJTB情報システム 取締役 品質管理本部長の永井雄二氏、新日鉄住金ソリューションズ 常務取締役 技術本部長の宮辺裕氏も登壇し、インフラの運用における取り組みを紹介した。
2009年までにJTBグループのビジネスを支える基幹システムをメインフレームからオープンプラットフォームに移行したJTB情報システムでは、その安定稼働を実現する運用面において「人」を大切にしているという。運用は担当者だけのミッションではなく、全社的な取り組みと位置付ける。
永井氏は、安定稼働を支える仕組みの1つとして「サービス提供率」を紹介した。一般的にシステム運用の評価は稼働率で示されるが、サービス提供率とは業務部門に対してどれだけ安定したITサービスを提供しているかを示す独自の指標だ。
「例えシステムが稼働していたとしても、何らかの理由でユーザーが使えないのであれば、それはダウンしているのと同じことになる。システムが業務部門にどんな影響を与えているかを運用担当者も把握できる仕組みを取り入れている」(永井氏)。例えば、システムを10分間使えないことによって、収益ロスがどのくらい発生しているのかといった情報を運用担当者も共有する。
サービス提供率は、商品や繁忙期、閑散期といった業務環境などによって重み付けを行って算出しているという。2012年の実績は、稼働率が100%だったが、サービス提供率は99.98%だった。「数年前は99.95%近くに低下したこともあったが、近年は向上し、安定して推移している。こうした取り組みでTivoliを活用し、人が運用を支えていることを評価できるようにしている」という。
新日鉄住金ソリューションズは、同社のクラウドサービス「absonne(アブソンヌ)」の提供基盤においてTivoliを利用する。
宮辺氏によると、ユーザー企業では業務アプリケーションの多様化とインフラの複雑化によって運用が難しくなるという課題を抱えており、運用や保守を含めたアウトソーシングのニーズが高まっている。absonneではこうしたニーズに応えるサービスを提供している。absonneにおいて同社ではTCOの30%削減と99.99%の稼働率を目標としている。なお、TCOの30%削減は同種のサービスに比べると“大人しい数字”とのこと。
その理由は、「エンタープライズシステムは5年から10年という長期スパンで利用されるものであり、将来にユーザー企業がクラウド環境へ順次移行していくことを考慮しなくてはいけない」(宮辺氏)であり、コスト削減を追求するあまりにサービス品質が低下しては意味が無い。
とはいえ、技術革新のスピードが増している現代において変化への柔軟性も要求される。そこで、同社ではカスタマーポータルなどのフロント部分では自社開発を行い、サービス提供基盤にはTivoliを採用した。
「5年から10年という長い間のサービスを安定して提供するには、長期的なビジョンを持った信頼できるパートナーが不可欠であり、それはIBMだった」と採用理由を明らかにした。
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