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成長を賭ける“三本の矢” デジタルアーツが戦略方針を発表

デジタルアーツがパートナー総会を開催。2013〜2014年における事業戦略と製品戦略を発表した。

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 セキュリティ企業のデジタルアーツは6月14日、都内で年次のパートナー総会を開催した。2013〜2014年における事業戦略を発表した代表取締役社長の道具登志夫氏は、製品強化・協業推進・海外展開の「三本の矢」で企業向けビジネスに同社の成長を賭けると表明した。


道具登志夫社長

 道具氏はまず、2012年度の事業成果を報告。売上高は7期連続の増収となる前年度比7.3%増の29億600万円を達成、3月15日には東証1部に指定替えを果たすなど好調な結果だったと報告した。内訳では企業向けビジネスが同7.3%増で、特にWebフィルタリング製品「i-Filter」やメールセキュリティ製品「m-Filter」のクラウドサービスの売上が大幅に伸張した。公共向けビジネスは同42.2%増で、企業向けビジネスを大きく上回る結果になった。

 これについて道具氏は、「企業向けビジネスはこれまで2けた成長を続けてきたが、昨年度は公共向けビジネスに営業リソースを振り向けたことで予想以上に良い状況となり、結果的として企業向けビジネスの成長が鈍化してしまった。今年度は再び企業向けビジネスに注力して、さらなる成長を達成したい」と述べた。

 2013年の事業戦略では上述の「三本の矢」を掲げる。製品強化ではi-Filterやm-Filterに加え、共有ファイルの情報漏えい対策製品「FinalCode」や、昨年発売した法人用セキュアブラウザ「i-Filterブラウザー」の機能を大幅に進化させる。協業推進では5月に発表した米Polkastとの資本提携によるアプリケーションクラウドサービスの事業化と、6月4日に発表したNRIセキュアテクノロジーズとの協業による製品開発に注力する。

 海外展開は、製造業を中心に販売が急拡大しているというFinalCodeの国際展開を図る。海外販売網の拡大に加え、24時間対応のグローバルサポート体制を上半期中に構築する準備を進めていることを明らかにした。


高橋則行CTO

 総会では取締役 最高技術責任者兼開発部長の高橋則行氏が、製品戦略の方向性や2014年までの製品計画を発表した。高橋氏は、企業におけるクラウドやモバイルの利用拡大に伴ってWebベースのアプリケーションが増えていくと同時に、Webを通じたセキュリティの脅威も拡大すると予想。製品開発もこの方向性に沿って進めるとした。

 製品計画ではi-Filterの最新版を2014年1月に投入、Webベースのアプリケーションコントロールや不正プログラム検出の新エンジン「zscan」(仮称)の搭載による情報漏えい対策機能の大幅な強化を予定する。i-Filterブラウザーでは2013年8月に最新版(Ver3.1)をリリースし、主要なモバイルデバイス管理(MDM)製品との連携強化やWindow 8への対応を図る。

 また、メールセキュリティ関連では7月にサーバレスでユーザーにメールの誤送信を警告する「MailAdvisor(NRIセキュアテクノロジーズから事業移管された製品)」、8月にm-Filterの最新版をそれぞれ発売する。m-FilterではWebメールからの誤送信対策を新たに実現していく計画という。FinalCodeも9月に最新版をリリースし、英語やiOSに対応させるとしている。

 高橋氏によると、Polkastと推進するアプリケーションクラウドサービスは、今夏に事業化する予定だったが、これを延期した。このアプリケーションクラウドサービスとは、社内のPCあるいはファイルサーバと社外のデバイスなどをインターネット回線で接続し、ファイル共有などを可能にするもの。既存のオンラインファイル共有サービスではファイルを事前にアップロードする手間やファイルサイズの制約が伴うため、ローカルデバイスのストレージ同士を暗号化などによる安全な回線で接続し、より効率的なファイル共有を実現するという。


Polkastとの共同事業は、従来に無い企業間でのファイル共有を実現させるという

 「発表後に非常に多くのパートナーや顧客から問い合わせやアドバイスをいただいた。当初予定したビジネスモデルやライセンスを再検討しており、より確かなものにして事業化したい」(高橋氏)と説明した。

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