新たな国家IT戦略の肝となるオープンデータ:クラウド ビフォア・アフター(2/3 ページ)
日本は国際的地位の後退、少子高齢化や社会保障給付費増大、社会インフラの老朽化、東日本大震災における震災復興など、多くの課題を抱える“課題先進国”といっても過言ではない。こうした現状の閉塞を打破するため、政府は持続的な成長と発展に向けた戦略の柱として、特にビッグデータやオープンデータ、クラウドを新たなIT戦略のエンジンとしている。
医療など各分野でのデータ活用を支援
本戦略では、データというキーワードが100を超えるなど、さまざまな分野において、公共データのオープン化やデータを活用した行政サービスの効率化、社会インフラの維持、新産業の創出などを目標に設定している。
医療分野では、保険者や地方自治体、企業が健診データやレセプトデータなどの医療・健康情報から健康状況などを把握、分析し、データに基づく具体的な保健指導や、医療情報データベースを活用した医薬品などの安全対策に関する取り組みを推進する。
防災分野では、一部の省庁での共有にとどまっている地理空間情報をオープンデータ化し、官民連携によりインターネットを通じて情報提供を行うことで、地理空間情報や災害関連情報を利活用できる仕組みを構築していく。
老朽化していく社会インフラにおいては、社会インフラの維持管理・更新に必要なデータを体系的に把握し蓄積するため、2013年度から各施設の現況データなどのデータベース化を進める。これらのデータを統一的に蓄積し管理するプラットフォームを構築し、2014年度から一部運用を開始。2015年度以降は、機能強化を図り本格運用へ移行していく予定だ。
交通分野では、車と車、道路と車、車と人などが相互にタイムリーな情報交換を実現できるように、地図情報や車および人の地理空間情報などのデータを蓄積し、ITS(Intelligent Transport Systems)技術の活用により、交通事故の危険や交通渋滞を回避し、安全で環境にやさしく経済的な道路交通社会の実現を目指している。
データ活用のための規制改革と環境整備
政府では、時代の変化に合わせ、デジタル社会を前提としたITやデータの活用を推進していくために、IT利活用を推進するための法的措置(IT利活用を推進するための「基本法」)の必要性についても検討を進めている。
オープンデータやビッグデータの利活用を推進するためのデータ利活用環境整備にあたっては、IT総合戦略本部の下に、新たな検討組織を設置し、データの活用と個人情報およびプライバシーの保護との両立に配慮したデータ利活用ルールや、苦情・紛争処理機能を有する第三者機関の設置を含む新たな法的措置も視野に入れた制度見直し方針を年内に策定するとしている。
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