調査会社の矢野経済研究所は8月21日、国内のシステム運用保守サービスに関する調査結果を発表した。システム運用保守サービス市場は、保守サービスの縮小を運用サービスがカバーする形で成長し、2011年度から2017年度の年平均成長率は1.6%で推移、2017年度には事業者売上高ベースで3兆8800億円の市場規模に達すると予測している。
調査によると、運用サービス市場の2011年度から2017年度の年平均成長率は4.2%で推移し、2017年度には2兆4359億円に達するという。これは、東日本大震災以降、事業継続対策を目的にデータセンターの利用が増加していることや、クラウドコンピューティングの概念が普及したことが、データセンター運用サービスの成長につながっているためだ。
一方、オンサイト運用サービスも、ユーザー企業の多くが競争力確保のために中核事業に人材を集中的に配置し、間接業務であるシステム運用業務を外部委託するようになってきていることや、仮想化技術の普及により運用業務が高度化・複雑化しているため、外部の専門家に運用業務を委託するようになってきていることなどを背景に成長が続いているという。
2011年度から2017年度の保守サービス市場は、年平均成長率マイナス1.8%で推移し、2017年度には1兆4441億円になると同社は予測する。保守サービス市場は、ハードウェア導入単価の下落に伴い保守料金が低下していることや、仮想化技術によりサーバなどの統合が進み、保守対象となる機器の台数が減少していることなどから、市場の縮小が続くという。
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