日本のオフショア案件は回復基調 印Tech Mahindra 北アジアトップに聞く
今年6月にMahindra Satyamと経営統合したTech Mahindra。日本市場での事業戦略などを聞いた。
InfosysやWipro Technologiesなどとともにインドの5大IT企業に数えられるTech Mahindra。今年6月にはMahindra Satyamと経営合併したことで、年間売上高27億ドル、社員数8万4000人という巨大組織になった。顧客は世界46カ国で540社に上る。
オフショア開発やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)など、グローバル企業のサポートを主要なビジネスとして成長してきたインドIT市場だが、今なお企業間競争は激しい。そうした中にあってTech Mahindraの強みは何か。同社 バイスプレジデントで北アジアトップを務めるアミタバ・ゴッシュ氏は、「通信や製造、自動車の産業分野で高いシェアを上げている」と説明する。
現在、同社が注力するソリューションが「NMACS」と呼ばれるものだ。これは、ネットワーク、モビリティ、アナリティクス、クラウド、セキュリティの頭文字を組み合わせている。特にネットワークやモビリティの分野では、英British Telecomや米AT&T、米Motorolaとの協業を強みに、グローバル規模で新たな顧客開拓に乗り出したい構えだ。このソリューション体系を軸に、「2015年には現状の約2倍となる50億ドルにまで売り上げを伸ばす」とゴッシュ氏は意気込む。
もっとインドに目を向けさせたい
一方、日本でのビジネス状況はどうか。直近では組み込み領域とエンタープライズ領域を中心に成長しており、前四半期と前々四半期を比べて15%の伸びがあったという。リーマンショック以降、日本企業からのオフショア開発案件は大幅に減少し、厳しい冬の時代を過ごしたが、数年前から回復の兆しを見せている。
ゴッシュ氏は「ここ4四半期は連続で右肩上がりだ」と胸を張る。例えば、メインフレームの開発やオープンシステムへのマイグレーションにインドの技術者リソースを活用する日本企業は少なくないという。
ただし、日本企業のアウトソーシングに対する投資動向を見ると、全体の60%が中国を発注先としており、インドは20%にとどまっているという。今後はその比重を変えるべく、「インドの技術スキルや言語スキルの高さ、オフショア開発における品質の高さを広く訴えていきたい」とゴッシュ氏は強調した。
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