大きく変わるOffice サブスクリプション化とは何か?:Enterprise IT Kaleidoscope(3/3 ページ)
ビジネスシーンではおなじみのMicrosoft Officeが大きく変化しようとしている。従来のように購入したパッケージをPCにインストールして使うだけでなく、クラウドサービスや月額利用型も登場した。これらはいったいどのようなものか。
クラウドに移行すべきか
また、Office 365のクラウドサービスでは日々様々なサービスが追加されている。2012年にマイクロソフトが買収したエンタープライズ向けSNSサービスのYammerもOffice 365で利用できる。2014年9月には、Delveというパーソナライズ検索のシステムが追加された。Delveは、機械学習システムのOffice Graphを利用している。Office Graphをメールシステムに応用して、メールの振り分けを機械学習させようというプロジェクトも進んでいる。
このようにOffice 365は、単にOfficeアプリケーションをサブスクリプションモデルにするだけではなく、新たなクラウドサービスに発展していくものだ。
企業にとっては、既存のメールやグループウェアをOffice 365へ移行するかどうかが大きなハードルとなるだろう。オンプレミスで運用しているメールサーバ、Google Appsなどのクラウドのメールサービス、ファイル共有サービスを含むグループウェアなど、既存のシステムをOffice 365に移行する手間は非常に高いハードルとなる。このあたりは、様々なシステムインテグレーターが移行サービスを提供している。社内で行うよりも簡単に移行できるツールなどもそろっている。
中小企業などにおいても、数百人がPCに保存しているメールのアーカイブや社内のメールサーバに保存されているアーカイブなどを、Office 365に移行する手間を考えると、多くの作業が発生する。ビジネスでメールが当たり前のように使われている現状を見れば、今までのデータを削除して新しいメールシステムを運用することになれば、社員から非難が殺到するだろう。システムを利用する社員の満足度が低下すれば、移行自体が失敗に終わる可能性もある。
ただコスト面を考えれば、クラウドサービスを含むOffice 365を採用するメリットは大きい。移行にはいろいろなハードルがあるが、SharePoint OnlineやExchange Onlineなどのサービスのメリットを考えるべきだろう。
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