大手学習塾で苦しむ「孤独な教室長」を救った“たった1つの仕掛け”とは?:連載・企業内SNSの“理想と現実”(3/3 ページ)
「教室運営スタッフは自分1人、誰のサポートも期待できない」――そんな状況に苦しむ学習塾社員を救った1つの“仕掛け”とは? 社内ソーシャルの導入事情に詳しいサイボウズ・伊佐政隆氏による寄稿連載の第3回。
それを見かねた本部はある時、各クラスの教室長同士で気軽に悩みを相談したり、情報共有したりできる場として社内ソーシャルシステムを用意することにしました。ただし、教室長は授業と授業の間の空き時間にしかPCをチェックできないため「どのような情報共有を行えばいいか指示を出さない限り使ってもらえないのでは」――という懸念もあったそうです。
そこで本部では、教室長に社内ソーシャルへと参加してもらうための“1つの仕掛け”を用意しました。それは、生徒の「新規契約キャンペーン」に合わせて社内ソーシャルを導入することです。つまり、約200の直営教室を10程度のチームに分け、夏期講習の募集生徒数を競わせ、その情報共有ツールとして社内ソーシャルを用意することにしたのです。
実際、チームごとに「ガルーン」のスペース上で情報共有を行わせたところ、作った生徒向けのチラシを見せ合ったり、父母説明会の実施報告を行うといった、教室長同士のノウハウ共有がスムーズに始まりました。さらに、他教室の成績報告が刺激になり、教室長のモチベーション向上にもつながったといいます。
ここがポイント:「導入目的」と「使ってもらう工夫」
社内ソーシャル導入の目的
- 教室長同士の情報交換
成功をもたらした工夫
- ノウハウ共有を“個人の自主性”にゆだねるのでなく、仮想チームと競争相手を作ってチーム戦形式で情報交換させたこと
以上、2つの実際のケースを例に社内ソーシャル導入成功の秘けつを紹介してきました。次回はこの後編として、社内ソーシャルシステムによって社内の風土を変えた専門商社と、ソーシャルコミュニケーションで中国展開を成功させた大手食品メーカーの取り組みを紹介します。
・連載「企業内SNSの“理想と現実”」の記事一覧はこちら
著者プロフィール
伊佐政隆(いさ まさたか)
サイボウズ株式会社でエンタープライズグループウェア「サイボウズ ガルーン」、業務アプリクラウド「kintone」(キントーン)のプロダクトマネージャーとして大手企業への導入提案、製品企画、プロモーションを担当。企業が直面する「情報共有の課題と価値」について常に考え、経験を重ねている。
著者からのお知らせ
サイボウズでは、パッケージソフト版ガルーンの最新バージョン「サイボウズ ガルーン 4」をリリースしました。
ガルーン 4では、Webブラウザ経由で利用できるスマートフォン専用画面を新たに搭載。スケジュールやメール、ポータルといった主要アプリのほか管理機能も、ユーザーの要望に応えてさまざまな機能を追加しています。
リリースに伴い、公式Webサイトも大幅リニューアルしました。ご覧いただけると幸いです。
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