激戦区「ビジネスアナリティクス市場」の新潮流:Weekly Memo(1/2 ページ)
2015年はビジネスアナリティクス(BA)市場がますます激戦区になるだろう。その新潮流として、企業システムにおけるBAの役割が大きく広がる可能性も出てきた。
「第3のプラットフォーム」に向けて、BA市場が激戦区に
IDC Japanが1月6日、国内ビジネスアナリティクス(BA)ソフトウェア市場における主要ベンダーの競争力を分析した調査結果を発表した。IDCでは「データウェアハウス(DWH)管理基盤」「ビジネスインテリジェンス(BI)/分析ツール」「パフォーマンス管理/アナリティクスアプリケーション」「位置/空間情報分析ツール」「コンテンツ分析ツール」の5種類をBAソフトウェア市場と定義づけている。
それによると、上位ベンダー5社における2013年の結果は下図のようになった。
図は、それぞれの円の大きさが売上額規模を相対的に示し、各社の矢印方向への動きが前年と比べた成長率とシェアの変化を表している。2013年の各社の競争力における順位は、1位がオラクル(シェア24.1%)、2位がSAP(同14.0%)、3位がIBM(同11.1%)、4位がマイクロソフト(同9.2%)、5位がSAS(同6.0%)となり、前年(2012年)から順位の変動はなかった。
ちなみに、2013年の国内BAソフトウェア市場規模は、前年比7.7%増の1621億1600万円だった。内訳は、データ蓄積に関係するDWH管理基盤が39.8%、蓄積データを活用するためのBI/分析ツールが28.9%、パフォーマンス管理/アナリティクスアプリケーションが25.4%と、3種類で94.1%を占めている。したがって、これらの売上規模が大きいベンダーが同市場の上位に名を連ねている。
IDCは同市場について「BAに対する企業の関心は高まっており、今後も新たな技術や製品のリリースによって、さらに用途が拡大することが期待できる」と予測。2013年〜2018年に7%の年間平均成長率で推移し、2018年の市場規模は2272億7900万円に達すると見ている。中でもBI/分析ツールについては、企業の事業部門における利用も増加していることから、年間成長率も8.5%の高水準で推移すると予測している。
しかし、その一方で「BAに興味はあるが導入に至らない企業や、取り組みは行っているが新たな事業やイノベーション創出につながるような高度な分析に苦慮している企業の実態も見受けられる」と指摘する。今後ベンダーが市場拡大を図っていくためには、「クラウド、モバイル、ビッグデータ、ソーシャル技術からなる“第3のプラットフォーム”へITシステムの変化を促すため、顧客企業の業務内容とその課題を見つけること、そこから段階的に顧客の業務改革を実現する中長期のBA提案を行い、導入率を向上させるために多様な活用事例を日本語化されたツールで提供することが重要だ」としている。
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