激戦区「ビジネスアナリティクス市場」の新潮流:Weekly Memo(2/2 ページ)
2015年はビジネスアナリティクス(BA)市場がますます激戦区になるだろう。その新潮流として、企業システムにおけるBAの役割が大きく広がる可能性も出てきた。
BAが企業システムのフロントエンドツールに
この2013年の調査結果をもとに、国内BAソフトウェア市場における2014年の推移、さらに2015年に注目される動きを探ってみたい。
特に主要ベンダーの動きに注目すると、2014年はまさしく第3のプラットフォームに向けて、各社から新たな技術や製品のリリースが相次いだ。その意味で2015年は、一層の“激戦区”となって各社の競争力における順位に変動が起こり得るだろう。
IDCが挙げた上位5社における2015年の動向を推察すると、オラクルは国内で本格的にクラウド事業を推進する中でBAを中核に据えてくるだろう。SAPもデータ分析機能をベースに持つ「HANA」プラットフォームの普及をテコにBAのシェア向上を狙っている。
マイクロソフトはオフィスアプリケーションとして広く普及している「Office」製品群と深く連携したBAの提案をさらに強化していくだろう。SASもBAの専業ベンダーとして新製品をテコに顧客拡大を図っていく構えだ。
そうした中で筆者が注目しているのは、IBMが人工知能コンピュータ「Watson」を活用した企業向けデータ分析サービスとして新たに市場投入した「Watson Analytics」である。WatsonはIBMの創設者であるトーマス・J・ワトソン氏にちなんで命名されたコンピュータで、人間の能力に対抗して「迅速かつ正確に自然言語での質問に答える」ことを目指して開発された。
Watsonと同じ自然言語処理やアルゴリズム、探索機能を備えたWatson Analyticsは、IBMの説明によると「あらゆる業務部門において、データの作成、予測分析、業務ごとの視覚的な説明など、これまで時間を要した作業を自動化することができ、働き方をも変革するもの」だとしている。
IBMはこの新サービスを、基本機能は無償にするなど安価なSaaSとして提供を開始した。その狙いは「Watson Analyticsを企業システムのあらゆる業務に共通したフロントエンドツールとして普及させる」ことにある。
BAは前述したように、これまでDWH(Data WareHouse)管理基盤やBI/分析ツールとして使用されてきた。しかし、これからはWatson Analyticsが目指している方向にも役割が大きく広がっていくのではないか。2015年はそうしたBAの新潮流が明確になってくるというのが筆者の見立てである。
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