Windows 10は最後のメジャーアップグレードになる?:Enterprise IT Kaleidoscope(2/2 ページ)
Microsoftは、Windows 10のリリースによってOSのアップグレードやサポートなど、OSビジネスに関する大転換を果たそうとしているようだ。数年後にはWindows OSが“サービス”になっているかもしれない。その理由とは?
Windowsの利用は月額/年額制に?
現状でMicrosoftは表明していないが、将来的にWindows OSをサブスクリプション(月額、年額)モデルにして、OSとOffice 365をバンドル販売していく可能性がある。この場合、ベースとなるWindows 10(コンシューマー向け)は、Windows 8.1 for Bingのように無償に近い価格でOEMメーカーに提供され、その後エンドユーザーと毎月のセキュリティパッチや新機能の提供でWindows Updateを利用するサブスクリプション契約を結ぶという仕組みに変わるだろう。
現状のエディションとしては、コンシューマー向けの“無印”のWindows(無償のWindows for Bingもほとんど同じ機能)、Windows Pro、企業向けのWindows Enterpriseが存在するが、将来的にはコンシューマー向けのWindows、SA契約ベースで提供されるWindows Enterpriseの2エディションに集約されていくと考えられる。
すぐにWindows Proがなくなるとは思えないが、将来的にはWindows Enterpriseへ集約され、企業でのWindows OSの利用は、SA(ソフトウェアアシュアランス)契約、もしくはSA契約に近いWindows Pro専用の契約が作られるかもしれないが、そうした形態をベースにしていくように変わるだろう。
企業にとって日々Windows OSの機能がアップしていくことは、セキュリティ面だけでなく、トレーニング面でも大きな問題となる。このため、MicrosoftはWindows 10でのアップデートに関して、3つのレベルを用意していく予定だ。1つは、現在のWindows Updateと同じくセキュリティパッチだけを提供するもの。2つ目は、コンシューマー版のWindows OSと同じように、積極的に新機能とセキュリティパッチを取り込む(Fastモード)もの。3つ目は、新機能は取り入れるが、コンシューマー版のようにリリース後すぐにアップデートするのではなく、新しい機能の使い勝手などが落ち着いてからアップデートする(Slowモード)である。
これら3つのアップデートモードの切り替えは、企業内に置かれるWindows Server Update Service(WSUS)とActive Directoryを組み合わせ、社内のどのPCはFastモードにして、その他のPCはセキュリティアップデートだけにとどめるといった、きめ細やかなコントロールができるようになるだろう。
Windows 10以降、積極的にOSのアップデートが行われるなら、企業はSA契約をしなくてもいいと考えるかもしれない。Microsoftが将来的なWindows OSのサブスクリプションモデル化を考えていることを考慮すれば、サブスクリプション料金が重くのしかかってくる。Microsoft側でもある程度の台数のPCを利用する企業においては、SA契約の方がサブスクリプション料金よりも安くなる仕組みを導入するかもしれない。
また、今までのように一度Windows OSを購入すれば、サポート期間が終了するまでセキュリティパッチがWindows Updateから提供されるということではなく、ユーザーの契約期間(サブスクリプション期間)に応じてセキュリティパッチが提供されるようになるかもしれない。企業ではWindowsのPCを利用している期間に応じてコストが発生していくようになる可能性が高い。
ユーザーがサブスクリプション契約を終了しても、Windows OSがすぐに使えなくなるということはないだろう。ただ、セキュリティのアップデートが提供されなくなったり、新しい機能が使えなくなったりすると思われる。特にセキュリティ上のトラブルを抱えたOSを運用するのは、企業にとっては“時限爆弾”を抱えたまま運用していることに等しい。
Windows 10は2015年秋にもリリースされる見込みだが、直ちにサブスクリプションモデルやサービスモデル(Windows as a Service)に移行することがないだろう。今後数年にわたって、Windows OSのサービス化が進んでいくと思われる。企業にとって今後は、MicrosoftとのSA契約などライセンスやサブスクリプションに関することが重要な課題になっていくだろう。
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