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企業のマイナンバー対応に大幅な遅れ、ルールやシステム整備に問題

日経BPコンサルティングの調査から、マイナンバー対応作業に着手した企業は2割に満たず、2017年1月の制度施行に間に合わない企業が多発すると予想される。

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 2016年1月にスタートする「マイナンバー制度」への企業対応が大幅に遅れている事態が日経BPコンサルティングの調査で分かった。既に対応作業している企業は16.8%で、作業実施を予定する企業を含めても38.0%にとどまっている。


マイナンバー制度への対応作業(準備作業を含む)の実施状況、出典:日経BPコンサルティング

 調査では3月下旬時点の状況を1058社にアンケートした。対応作業について「対応を要する法制度であれば今後対応するはずだ」は20.4%あり、「予定もない」が8.4%に上った。制度開始まで9カ月となり、「制度の趣旨が十分には浸透していない。対応作業に一定の工数や費用を要することを考えれば、遅れが懸念される」(同社)としている。

 対応作業を実施している企業・団体は、業務やシステムなどで関係性が高い官公庁や金融、IT関連でも2割台にとどまり、その他業種は1割台だった。

 対応の遅れで制度開始直前(2015年末)に想定される事態では社内規定・マニュアルの不備や従業員の教育・啓発が不十分で4割台に達する。情報システムの改変が間に合わないことや、関連帳票などの対応部分が特定できないことを挙げる回答も目立った。


2015年末時点でマイナンバー対応が遅れると想定される事態、出典:日経BPコンサルティング

 システム面で対応の必要性が挙げられたのは、「人事・給与システムの改変」(71.4%)や「会計・経理システムの改変」(41.4%)、「マイナンバー保管システムの導入」(28.3%)が上位3つとなった。

 また、「特定個人情報」に指定されるマイナンバーにはセキュリティ対策も重要になるが、漏えいや不正利用に罰則が適用されることの認知度は、制度対応に前向きな企業でも半数を切った。「セキュリティシステムの改変」を挙げる企業は17.2%で、同社は「マイナンバーを取り扱うシステムのセキュリティの必要性について十分に認知されていない」と指摘。


マイナンバー制度に対応するために、改変・導入する必要がある情報システム、出典:日経BPコンサルティング

 作業を実施する企業が少ないことから、制度開始時点で対応不備に陥る企業・団体が続出する恐れがあると同社では警鐘を鳴らしている。

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