これからはじめる「マイナンバー対策のキホン」5つのポイント:特集 情シスが率先して実施する「企業のマイナンバー対応」(1/4 ページ)
すべての企業が対応しなければならない「マイナンバー制度」。あなたの会社は対策しているだろうか。「そうは言っても……何からやれば分からない」。そんな企業の情シス担当者は、まずは「何を考え、実施するか」のキホンを理解しよう。
2016年1月からスタートする「マイナンバー(社会保障・税番号)制度」。日本国民と日本に滞在する外国人(日本に住民票を有するすべての人)、そして日本の社会基盤に密接に関わる。そして行政だけでなく、この準備対応や開始後の管理は規模を問わず、すべての企業や団体が行わなければならない義務がある。
これだけ影響範囲が広大な、極めて重大な制度ながら、マイナンバー制度に対する準備や対策はおろか、認知や理解でさえまだ不十分なのが現状だ。企業も「何もしない」では済まない制度のため、残された時間を考えると、実はもう“待ったなし”の状況にある。
内閣府政府広報室が実施した「マイナンバー制度に関する世論調査結果(2015年1月実施)」によると、「内容まで知っている人」は約28%ほどしかいなかった。もちろん、エン・ジャパン「人事担当者向けアンケート結果(2015年2月実施)」によるマイナンバーを取り扱う人事担当者を対象にすると認知度は約65%とだいぶ高まり、帝国データバンクが全国の企業約1万社に対して行った2015年4月時点の意識調査でも、9割超が何らかの形で認識され、約4割が「内容も含めて知っている」と回答している。
ただ、上記調査でも「対応を進めている/完了した」企業は2割弱にとどまり、約6割は「対応を予定しつつも、まだ何もしていない」状況だった。日本全国に大きな変革をもたらす規模の重要な制度であり、すべての企業が対応しなければならない制度であるにも関わらず……やはり、決して十分とは言えない。実際、企業を見渡すと「うちは中小企業なので関係ない」「特定部門だけが関係する」といった誤解や、「何から着手すべきか、分からない」などの困惑が生じていたりする。でも、企業として「何もしない」では済まないのだ。
そうした中にあって、企業はマイナンバー制度にどう対応しなければならないか。ここでは、企業のIT部門、情シス担当者の対応を深追いしていく。
確かに、マイナンバー制度は企業にとって新たなコスト負担を強い、新たなリスクも発生する。大企業も中小企業も隔てなく対応を義務付けるならば、例えば対策費用は税金でまかなうか、少なくとも補助金などの対応もほしいと思うかもしれない。中小企業は、発生コストに対する効果に懸念を抱くのも理解できる。
ともあれ、2016年1月にマイナンバー制度は開始される。
少なくとも制度を理解し、何からどのように取り組むべきか。これらの点を改めて整理することからはじめてほしい。まずは、マイナンバー制度の仕組みを概観しつつ、IT担当者が悩むことが多いポイントに絞って解説していく。
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