八十二銀行(長野市)は5月25日、タブレット端末で外訪活動が行えるシステムの運用を開始した。行員の接続環境をシステムが自動的に識別し、安全な業務環境を容易に提供できるのが特徴だという。
同行ではシンクライアント環境による「行内用仮想デスクトップ」を利用しており、今回はこれを拡張して、銀行の外から利用できる「行外用仮想デスクトップ」に発展させた。「行内用仮想デスクトップ」では全ての業務アプリケーションを利用できるが、「行外用仮想デスクトップ」では利用できる業務やアプリケーションが制限され、端末側にデータが残らない。行員が特別な操作をしなくてもシンクライアント環境を自動的に切り替える。
システムの導入と構築は日本IBM、ソフトバンクモバイル、インテックが支援した。日本IBMによれば、行員の業務環境は「IBM WebSphere Portal」「IBM Notes/Domino」「IBM Security Access manager」やネットワークなどのコンポーネントの機能を組み合わせて実現している。システムの接続にはソフトバンクモバイルが提供する閉域網とタブレット端末を利用。デバイス管理システムも導入して遠隔から端末を管理し、万一の盗難や紛失などにもすぐに対応できるようにした。
タブレット端末を利用するのは約500人の個人向け渉外担当者。各種商品の資料を端末で表示して顧客に商品を紹介したり、取引状況を確認しながら顧客ごとに商品やサービスを提案したりする。紙の資料の準備する手間が減るため、営業活動により多くの時間を割けられるようになる。同行によれば、タブレット端末で利用する業務アプリはOSの種類に関わらず利用できる“地方銀行初”のハイブリッドアプリだという。
今後は法人向け渉外担当者への拡大も予定する。
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