まるでヨーロッパのよう。長崎県佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス」が人気だ。
1992年に開業。来場者数が伸び悩み破たんした同施設は、2010年に旅行代理店大手のエイチ・アイ・エス傘下に入り、再建を果たした。「花の王国」「光の王国」「音楽とショーの王国」「ゲームの王国」で成す集客イベントの展開軸と、子どもから年配の客まで三世代で楽しめる施策展開が功を奏し、九州エリアの主要観光スポットとして業績を伸ばしている。
そのハウステンボスが、さらに新たな施策を開始する。「変なホテル」というすごい名称のホテルを2015年7月17日に施設内に開業するというのだ。「変なホテル」のメインスタッフはロボット。フロントで3体のロボットがお出迎えし、ロッカーへの荷物預かり受付はロボットアームが活躍する。また、顔認証システム(や非接触ICカードキー)によるキーレス滞在の仕組みがあり、全客室の客室用端末と館内電話にWindowsタブレットとクラウド型コミュニケーションサービス「Skype for Business online」を用いるという。
名称だけでも「どういうこと?」と興味を引くが、ITシステムを積極的に用いた自動化による人件費の削減や省エネルギー化などに取り組み、宿泊者の滞在時の快適性と世界最高水準の生産性を両立させた、まったく新しいローコストホテルの実現を目指している。
経緯と課題:IT技術の積極採用で、コストと満足度を両立
「変なホテル」は、IT技術でコスト削減や生産性の向上を図りつつも、“客の満足度をもっと高める”ことに取り組むのが狙いだ。
客室は過剰なサービスやアメニティを排除し、客が快適に泊まるために必要最低限の設備を検討したところ、前述したロボットスタッフや顔認証キーシステムのほかに、客室内に用意していたホテルの施設や設備、サービスなどをまとめた紙の案内冊子の情報や、照明の調整機能、館内の電話機能などをタブレット1台に集約できることに着目した。なんと、テレビもタブレットで試聴する仕組みだ(客室タイプにより異なる)。
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