“遊べる本屋”に学ぶ「社員の自由な発想を妨げない」方法(1/2 ページ)
遊べる本屋を掲げる「ヴィレッジヴァンガード」が、モバイル化と業務効率改善をテーマにクラウドサービスを導入した。「従業員の自由な発想を損ねない」を念頭に置いた情シスの考え方とは。
「遊べる本屋」。書籍だけでなくCD、DVD、雑貨類を豊富にそろえ、サブカルチャー好きの支持を集める「ヴィレッジヴァンガード」を運営するヴィレッジヴァンガードコーポレーション(以下、ヴィレッジヴァンガード)」が社内業務基盤を刷新。“従業員の自由な発想を妨げない”店舗業務と情報活用促進、社員間の密なコミュニケーションを実現する新たなITシステムを導入し、ビジネスをさらに加速するための改革を実践した。
ヴィレッジヴァンガードは、店舗ごとの個性とマーチャンダイジング(客の需要に応じた商品を適切に提供するための企業活動)策を両立させるべく導入したPOSシステムにより、全国約400店舗の販売情報を集計する基幹系業務システムを構築。約130万アイテムに渡る売上データを詳細に分析し、売れ筋を中心とした客の需要を把握することで、需要に応じた商品の提供を行ってきた。
「昨年対比も含めて売上の詳細を分析してきた結果、市場のトレンドがきちんと追えるようになっています。店舗ごとに各店店長の個性を生かす方針の品揃えで、売上を順調に伸ばしています。ただ、400店を超えると“さらに先”の戦略が必要と感じはじめていました。よりいっそうの成長を遂げるため、数値データに基づいたマネジメントの導入が不可欠だと判断しました」(ヴィレッジヴァンガード マーケティング本部営業企画部の川上洋平氏/出典:マイクロソフト導入事例ページ)
同社にはこれら基幹系業務システムに加え、グループウェアや社内SNSなどのシステムをすでに導入していた。ただ、それぞれは密に連携してはおらず、混在する状況だった。従業員はそれぞれのシステムへ個別にログインする必要があり、事業の成長にとともに業務効率の課題が目立つようになった。例えばグループウェアで本社から各店舗へ情報や指示を出すにしても決められた表示パターンしか選択できず、詳細を伝えるにはメールや電話といった従来のコミュニケーション手段に頼らざるを得なかった。複数のツールやシステムが混在するゆえに、セキュリティ管理も複雑だった。
「これまで使っていたグループウェアでは、例えば本部から各店舗に戦略的な情報を配信しても、対象者が既読かどうかも分かりませんでした。掲示板的な一方的な情報発信だったので、対象者個人に回答をもらいたいなら、別のツールで連絡し、個別に回答をもらうといった方法ですね。連絡やアクションをとるツールが複数あったため、複数のIDとパスワードを使い分けなければなりません。情報を効率的に連携できず、手間もかかる。従業員にはかなりの負荷になっていました」(ヴィレッジヴァンガード 経営戦略本部IT企画部リーダーの足立佳久氏/同上)
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