第3回 マイナンバー対応「税理士と企業の役割分担」のポイント:税理士目線で提案する「中小企業のマイナンバー対策」(2/2 ページ)
マイナンバー制度は全ての企業、さらにその先、例えば税理士の業務にも関係する。特に中小企業は「税理士への委託を考慮した対策」が必要だ。今回は「税理士と企業の役割分担」のポイントを説明する。
マイナンバーの収集で事業者が行う作業とは
- 従業員に対し、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に従業員自身および扶養親族の個人番号も含めて記載してもらい、提出。税理士事務所に渡す
- 従業員および扶養親族の個人番号通知カードのコピーを提出させ、税理士事務所に渡す
- 従業員および扶養親族の個人番号通知カードのコピーを提出させ、企業の事務取扱担当者または責任者がデータ入力し、データを税理士事務所に渡す
- 従業員本人が扶養親族も含めた個人番号を社内システムでデータ入力し、企業はデータを税理士事務所に渡す
税理士事務所との連携を考えた場合、(1)や(2)の方法は、個人番号が記載された紙の資料が税理士事務所に大量に送られてくることになり、収集時、送付時、事務所での受領時の確認、その後の紙資料の保管など、各シーンに漏えいリスクがあるため、それにしっかり対応する安全管理措置が必須となります。また、個人番号は税理士事務所でPCで入力することになるため、税理士事務所でも事務取扱担当者または責任者が、その処理にあたることになります。
(3)や(4)の方法も、企業のPCや社内システムに入力された個人番号を税理士事務所へどのようにして渡すのか、例えば単に作成したExcelファイルをUSBメモリに入れて渡す──といった方法ではまったく対策が十分でなく、受け渡し時の紛失や盗難、コピーされて蔓延するといった漏えいリスクがたくさんあります。また、税理士事務所へ渡し、社内に個人番号を保管しておく必要がないならば、PCやサーバ含めてすべての社内環境から完全にデータを削除するといった対策やケアも必要となります。
いずれの方法でも、単にPC利用の知識があるだけでは陥ってしまいやすい注意点が多く、リスクの多さが際立ちます。やはり従来の年末調整業務と比べ、中小企業、税理士事務所双方に大きな負荷がかかってくることは間違いありません。
(続く)
次回は「それならば、どう解決する?」という選択肢を考察します。
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