高校生も選出、日本の未来を担う7人の“スーパークリエイター”(5/5 ページ)
ITでイノベーションを生み出す若い人材を発掘する「未踏事業」。同事業を主催するIPAが、2014年度に優れた成果を上げた「未踏スーパークリエータ」7人を選出した。彼らが生み出した“未踏”のサービスとは?
「未踏の修了証は“自分で考えて進む”資格」
修了式では統括プロジェクトマネジャーの夏野剛氏が卒業生たちにエールを送った。同氏は日本におけるIT人材の必要性を次のように語る。
「この20年で日本のGDPは2%ほどしか成長せず中国に抜かれて世界で3位になった。一方で、アメリカは200%成長を遂げている。これは大人やもしかすると若者もWebやITの価値を理解できていなかったから。昔、日本の製造業は生産力という面で競争力があったが、ビジネスの主戦場は今サービス業に移っている。サービス業の生産性を上げるのはITしかない」(夏野氏)
実際、MicrosoftやGoogle、Appleなど世界に名だたる巨大IT企業はほぼアメリカから生まれている。日本では経営者がITの重要性を分かっていないうえ、企業が技術者を上手に使えていないという。
「日本は技術者を企業に幽閉している。個人に情報が入ってこなかった20世紀こそ“どの組織に属するか”が重要だったが、もう時代は変わった。21世紀は“好きこそものの上手なれ”の時代。1人のオタクが100人のエリートサラリーマンに勝てる。組織に入らないとできないことなんてなくなった。そもそも組織だって同じことをやり続けたら30年後には消えている」(夏野氏)
組織よりも個人の力が強まり、自分の好きなことに打ち込むことが価値になる時代。だからこそ、自分で考えて進むことがより大事になると夏野氏は話す。
「君たちはITという大きな武器を手にしている。他人と同じことをやっていたら、それこそ退化しているのと同じだ。先輩の言うことだってあてにならない。関心があることをとことん追求して、実現していけること。未踏の修了証は“自分で考えて進む資格”を与えたということ。その証明書をもらったと思って、これから生きていってほしい」(夏野氏)
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