責任を負えますか? 覚悟した者だけに許される操作:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
いうまでもなくスマートフォンは「個人情報のかたまり」です。ところが、楽天が始めた「楽天アプリ市場」で、ちょっと“聞き捨てならない”操作が説明されているのです。
通常、この設定の用途は、例えばAndroidアプリの開発者が、知人にベータテストをしてもらうときに、正式リリースではないアプリを直接渡してインストールしてもらうためのもので、「相手を信頼している」ことが大前提です。もちろん、今回の楽天アプリ市場でも月に一度のセキュリティスキャンを行うということは明言されています。ところが、不正なモバイルアプリの数は2013年10月には100万を超え、そのたった半年後には200万を超えたと伝えています。楽天アプリ市場に登録されるアプリの数にもよりますが、1カ月に一度という頻度には若干不安が残ります。
問題は、楽天アプリ市場を信頼し、この「提供元不明のアプリのインストールを許可する」というオプションを変更した場合、いつ、どのタイミングでこのオプションを元に戻すのでしょうか。このオプションの重要性が分かる方ならば、希望のアプリをインストールしたあと、すぐに戻すことでしょう。しかし、ほとんどの方はこのオプションの存在はすぐに忘れてしまうのではないでしょうか。そうすると、楽天アプリ市場以外の方法で、不正なアプリがすり抜けてインストールされてしまうリスクもあります。チェックボックスを変更した場合、その損失は全て「ユーザーご自身が単独で責任を負う」ことに同意しているわけですが、その理解ができているのか、とても不安です。いまや銀行のセキュリティコードや二要素認証も、スマートフォンが持っているわけですし。
そのオプションを変更するとき、Androidは「提供元不明のアプリから携帯端末や個人データが攻撃を受ける可能性が高くなります」「ユーザーご自身が単独で責任を負うことに同意するものとします」という文言が表示される
「スマホは個人情報のかたまり」と再認識しよう
繰り返しになりますが、スマートフォンは「個人情報のかたまり」です。自らがそのリスクを負う覚悟がなければ、このオプションは触ってはいけないもの。「自分は大丈夫」だなんて思わず、設定内容を理解してからにしましょう。理解するのは難しいこともよく分かってます。その場合、この設定は「簡単には触らない」とだけ、覚えておきましょう。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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