ピンチにうろたえない“柔軟な心”がプロマネの基本:プロマネ1年生の教科書(1/2 ページ)
プロジェクトは日々さまざまなアクシデントが起こります。ピンチに陥ったときのプロマネの言動は周りに大きな影響を与えますが、冷静でいられる人は多くないもの。まずはプロジェクトをスムーズに運営するため、どう心を整えればいいのかを知りましょう。
連載:プロマネ1年生の教科書
現代のプロマネは、昔よりも難しいといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分は向かないんだ」と自信を失うこともあるでしょう。この連載は、プロマネになりたての人や、役職に就いたが“やることが山積みで、関係者の間で日々翻弄されている”人が、限られた権限やリソースの中で「ヒューマン/ビジネススキル」を使ってチームをよい状態へ導くことをテーマに、さまざまなスキルや活用法をご紹介します。
前回の記事では、優秀なプロマネやリーダーが備える対人スキルの全体像について解説しました。
記事を読んでいるうちに「そんな“スーパーマン”おらんわ!」と思わず突っ込んだ人もいるかもしれませんが、チームを率いて成果を出すという重責を負う以上、簡単に諦めてはいけません。苦手分野や知らない分野にアプローチしたり、他者のチカラを借りたり、得意な分野をもっと伸ばすなどして、理想に少しずつ近づいていければよいわけです。
ただし、1つ目の“道具”だけは自分自身でなんとかしなければなりません。それは「柔軟な心を持つスキル」です。
プロマネに“柔軟な心”が必要な理由
なぜ、プロマネは“柔軟な心”を持っていなければならないのでしょう。
プロジェクトを遂行していく中で、プロマネは日々、予定と異なる大小さまざまなアクシデントに見舞われます。「協力会社の体制が変わった」「テストで設計の不備が見つかったが、メンバーの見積もりが甘すぎて計画とコストに影響が出る」、単純なものなら「忙しいのに突然2人も休んだ」といった事態も含まれます。
そういうときに慌てないよう、事前にリスクマネジメントを行うわけですが、実際にリスクが表面化したときに“冷静な状態でいられる人は思ったほど多くない”と思ったことはありませんか?
仮にあなたがプロジェクトのメンバーだったとして、プロマネに悪い報告をした際に「は? 何でそういうことをしたわけ?」と攻撃的な反応をする人や、「今月3回目のトラブルか……顧客にまた詰められるよ。今週も家に帰れないかも」とネガティブな反応をする人、いつまでも失敗にとらわれ、いたたまれない雰囲気を醸し出す人についていきたくなるでしょうか。
アクシデント発生時のプロマネの言動で、メンバーやステークホルダーに不安やいら立ちを生じさせるか、信頼感や安心感を与えるかが決まります。相手にネガティブな感情を生じさせれば、モチベーションや信頼の低下など、別のトラブルの種を生み、やがてはチーム全体を負の循環に導く原因となります。
とはいえ、悪い報告に対して冷静になれないときもあるでしょう。激しい気持ちが湧き上がるのは仕方のないことです。必要なのは、適切な対応がとれるよう、素早く気持ちを切り替えること。そこで「柔軟な心を持つスキル」が必要になります。キーワードは「レジリエンス」です。
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