ピンチにうろたえない“柔軟な心”がプロマネの基本:プロマネ1年生の教科書(2/2 ページ)
プロジェクトは日々さまざまなアクシデントが起こります。ピンチに陥ったときのプロマネの言動は周りに大きな影響を与えますが、冷静でいられる人は多くないもの。まずはプロジェクトをスムーズに運営するため、どう心を整えればいいのかを知りましょう。
逆境や失敗で折れず、変化に強い心とは?
レジリエンスとは「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」(全米心理学会の定義)。端的に言うと、以下のような特徴を持つ“しなやかで折れない心”です。
- 逆境やストレスに耐える、打たれ強さ
- 失敗してもすぐに立ち直る回復力
- 変化への合理的な対応力
例えば、どんな逆境に陥ろうと「マジかおもしれーな。まぁそういうこともあるな。それじゃ、どうするか考えようぜ」(上司の口ぐせです)と切り替える人。こういう対応ができれば何が起きても平静を保てるでしょう。この混沌とした社会では、プロマネだけではなく全てのビジネスパーソンが持っておいて損はありません。
レジリエンスを育てる方法はさまざまなものがあります。大きく2つの方向性に分かれますが、自分に合った方法を探すのがよいでしょう。
- 頭の中でできること(無駄な思い込みの対処、アンガーマネジメントなど)
- 頭の外でできること(マインドフルネス呼吸法、運動など)
レジリエンスに必要な「思考の柔軟性」
中でも知っておくとよいのは、物事の捉え方を柔軟にする方法です。心理学者イローナ・ボニウェル博士はレジリエンスに必要なのは“思考の柔軟性”――厳しい状況でもポジティブな面を見いだせる人が、逆境を乗り越えられると言っています(参考ページ)。
何かトラブルが起こったときに“できること”と“できないこと”を分け、できることにフォーカスし「こういう方法ならいけるかも」と考えるわけです。できないことを諦めはしますが、“どうせ自分にはできない、できる状況じゃない……”などと後ろ向きに捉えるのではなく、“できないのはしょうがない。ただ、どうやったら近づけるか”と前向きに捉えることが、ネガティブな時間を短くするコツです。
思考を切り替えたいときには、単純ですが「ま、いっか」と口に出すだけでも効果があります。「夢をかなえるゾウ」の著者、水野敬也氏は「逆におもろいわ」とつぶやくことで、脳が面白いことを無理やり探すようになると述べています(著書『スパルタ婚活塾』より)。どのような形でも構いません。自分に合った方法で思考を切り替え、物事の捉え方の幅を広げると、思考の柔軟性が増すのです。
ここで挙げた方法のほかにも、知識やノウハウはありますし、レジリエンスを鍛えるトレーニングを学べる場所もあります。アクシデントや逆境、さまざまなストレスをしなやかに受け止め、日々のタスクに“粛々と”取り組みましょう。プロジェクトに“何もない日”なんてありません。そして、プロマネはアクシデントに一喜一憂している暇などないのです。
著者プロフィール:岩淺こまき
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師
大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気付く。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。
- ブログ:「岩淺こまきの『明日の私を強くするビジネス元気ワード』」
- “上司部下のコミュニケーション”に効く前連載「そのひとことを言う前に」はここからどうぞ。
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