買わない理由は“動き”で分かる? Beaconで客の動向を分析:Beaconが叶える新しいマーケティングのあり方(1/2 ページ)
“買わない理由”も見える化――。ヒートマップ上で来店者の動きをひと目で把握する新しいマーケティング手法とは?
買う理由があるように、買わない理由も当然ある。売上を増やすためには、その“買わない理由”の分析が大切だ。それを実現するBeaconを使った店舗の行動解析システムに関する講演が開発者向けカンファレンス「SoftLayer Bluemix SUMMIT 2015」で行われた。
なぜ“Beaconで行動解析”なのか
Beacon管理プラットフォーム「Beacapp」を提供するジェナの岡村正太氏によると、Beaconで行動解析を行う店舗が増えているという。その背景にあるのは“来店者の動向をより細かく分析したい”という店舗側のニーズ。買った人だけでなく、買わなかった人のデータも重視されはじめているのだ。
「購入者の情報に関してはPOSデータなどで分析ができるが、問題はわざわざ足を運んでくれたのに買わなかった非購買者。データが不足しているため、店舗を改善していくために必要な分析ができないという問題ありました」(岡村氏)
例えば、今までは「店舗内のどこのコーナーが人気なのか」を判断するとき、売上データと現場の主観に頼るしかなかった。しかし、Beaconで行動解析を行うと、来店者が「どのコーナーに寄り、どのくらい滞在したのか」といった細かい情報を得られるようになる。そして、買った人と買わなかった人の導線を比較すれば、店舗運営の改善点を見つけ出すことができるのだ。
Beaconを使うと人の導線を知ることができるだけでなく、行動に応じてクーポンなどの情報配信を行うことも可能だ。例えば、Beaconと連携しているアプリを端末に入れてもらえれば、ある商品の前に設置したBeaconの近くを通ったときに、その商品に関係するクーポンなどの情報を配信することができる。
さらに、行動解析によって得られたデータはアンケート結果やPOSデータといった他のデータとの連携ができるので、さまざまなデータと組み合わせて分析ができる。また、端末との通信にBluetoothを使うため、電波の届かない場所でも使える点や、低コストですぐに導入できる点も魅力的だ。
こうしたBeaconの持つ可能性から、「アプリがBeaconと連携したときに何か面白いことができないか」と考え、Beacon管理プラットフォーム「Beacapp」というサービスが生まれたと岡村氏は話す。
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