「買う時、選ぶ時」に割チケが届く iPhone×クノールの新・iBeacon活用施策:iBeaconでオフラインリターゲティング(1/2 ページ)
iPhoneに標準搭載するiBeacon機能を使い、「物理的リターゲティング」を目的とする実証実験がスウェーデンで行われた。クノールとスウェーデンの新聞社Aftonbladetが手を組み、スマホを軸に再来店や購買を促す新アイデアの事例だ。
iPhoneに搭載されるiBeacon機能を利用した、新しいマーケティング手法が世界でじわじわ花開いてきている。
iBeaconとは、Bluetooth Low Energy(BLE)と呼ぶ近距離通信技術・規格とスマートデバイスを組み合わせ、そこで得た「位置情報」をさまざまな形で活用する機能だ。
iBeaconは、スマホへの情報配信を起点に実店舗への誘導やその購買を促す、O2O(Online to Offline:オンラインの情報からオフラインの消費行動を促すマーケティング施策)の切り札と言われている。iPhoneシリーズを中心に、現時点メイン端末としてユーザーが使うiOS搭載デバイスのほとんどで利用できる状況にあることから、そして、同じBLEの機能を備えたAndroid搭載デバイスのBeacon機能対応も進んできたことから、2015年より(iBeaconを含めた)Beaconシステムを活用したサービスが本格的な普及期を迎えると予測されている。
実際、スマホを起点とするマーケティングの手法は「店に近づいた人に告知したり、クーポンを配布する」といったプッシュ通知スタイルのiBeaconのよくある使い方に加え、新しいアイデアで工夫し、活用の幅を広げた導入、採用事例が増えてきている。多国籍企業ユニリーバのスープブランド「クノール」が、スウェーデンの新聞社Aftonbladetと組み、スウェーデン・ストックホルムの街角でiBeacon活用の可能性を改めて意識させるキャンペーンを行った。
iBeaconを使う、クノールの「物理的リターゲティング」キャンペーン
2014年11月、ストックホルムの街にクノールの移動販売車(フードトラック)が表れ、通勤、通学中の市民に無料でスープのサンプルを配布した。その場であたたかいものを食べるもよし、持ち帰ることもできる。ここまではよくあるサンプル配布のPR活動と一緒だ。
サンプルは、トラックとサンプルを配るスタッフにiBeacon発信器を設置、携帯して配布された。サンプルを受けとる(トラックやスタッフに近づく)とBeaconが反応する。
なお、Beaconシステムの課題の1つに、指定するアプリを利用者にインストール“しておいてもらわなければならない”ことがある。iBeaconに対応するアプリがあったとすると、「Aという小売りチェーンには、Aというアプリを用意する。Bという小売りチェーンには、Bというアプリを別途用意する」といった仕組みで運用される。これにより「関係のない店では反応しない」ようにできる半面、「まず、指定するアプリをインストールしてもらう」ことが必要である。
この課題は、スウェーデンのスマホ利用者の多くがすでにアプリをインストールしているというAftonbladetと組むことでかなりの部分を解消した。
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