A-SaaS、税理士事務所のマイナンバー物理的安全措置強化を支援:セコムと代理店契約を締結
税理士向けクラウド税務サービス「A-SaaS」を展開するアカウンティング・サース・ジャパンがセコムの物理的セキュリティ商材を販売する代理店契約を結んだ。税理士事務所の物理的安全措置対策をサポートする。
アカウンティング・サース・ジャパンは9月29日、警備保障会社大手のセコムと販売代理店契約を結んだと発表した。
同社は税理士向けクラウド税務・会計・給与サービス「A-SaaS」を展開するFinTech系スタートアップ企業。税理士向けのクラウド型マイナンバー収集+管理サービス「マイナセキュリティ」なども展開する。新たに税理士事務所に向けたセキュリティ強化対策支援の一環として、セコムの安全システムサービスと安全機器商品を販売する。
取り扱う商品は、無人のオフィスを守る画像技術を採用したセンサー「セコムAXシステム」、事務所内の動向を記録するカメラ「セコムNVRシステム」、不審者の侵入防止のための入退室管理システム「セキュリロックIII」など。
昨今多発する重大な情報漏えい事件、今後いっそう激しさが増すとされるサイバー攻撃の脅威、間もなく開始されるマイナンバー制度への対応などを機会に、サイバー(仮想空間)/フィジカル(実空間)ともに企業のセキュリティ対策需要が高まっている。税理士事務所も、顧問先企業の財務データなど機密性の高い情報を保有するうえ、今後は顧問先企業のマイナンバーを含む特定個人情報の管理も委託され、保有することになる事情から、情報漏えいに対する安全措置の強化を課題としていた。この取り組みにより、同社は税理士事務所へシステム的、物理的の側面からサポートできるとする。
マイナンバー制度とは
マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。
国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。
利用機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する帳票や届出への記載に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。
マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。
マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。
マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。
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