脱Excelで生産性15倍、リクルートが「Tableau」を選んだ理由:リクルートのセルフサービスBI導入記【前編】(1/2 ページ)
データ分析に「セルフサービスBI」を検討している企業は多いが、業務部門主導でデータ分析を行う文化を作るのは簡単なことではない。そこで「Tableau」でさまざまな成果を上げているリクルートライフスタイルに、導入のポイントやツールの活用方法を聞いてみた。
ビッグデータという言葉が一般的になり、企業における“データ分析”の重要性は高まる一方だ。増え続けるデータをどうにかしてモノにし、ビジネスに生かしたいと考えている企業は多い。
しかし、それでもビッグデータは“手ごわい”相手――そう語るのは、リクルートライフスタイルの前田周輝さんだ。2006年に同社に入社して以降、ビッグデータ活用やBI導入を推し進めてきたが、近年のデータ増加への対応に苦しんでいたという。
「データが大きく複雑になるにつれ、昔できていた分析すらできなくなってしまいました。分析結果がビジネスに生かせるかという点では、一時期は停滞どころか後退していたと言っても過言ではありません」(前田さん)
そんな同社だが、この2年で大きくその状況は変わった。その変化を支えたのは「セルフサービスBI」の導入だ。
「意思決定」のスピードを上げるためにBIを導入、しかし……
旅行専門雑誌「じゃらん」、クーポンマガジン「ホットペッパー」、習い事・資格情報誌「ケイコとマナブ」といった事業を展開している同社だが、近年は顧客との接点が紙からWebへと移り、事業のスピード感が増したという。セルフサービスBIツールを導入した背景にあったのも、事業のスピードに合わせて「意思決定のスピードを上げたい」という強い課題意識だった。
これまで、業務部門がデータ分析を行う場合、分析の専門チームにデータ出力や分析・リポート作成を依頼していたが、扱うデータが大きく複雑になるにつれ、それでは追い付かなくなってしまった。
「専門チームにくる案件の数、作業量が膨大になり、依頼を受けてからデータを提供できるまでに長い時間がかかっていました。どんなに価値のあるリポートでも、それが必要なタイミングに間に合わなければ、受け取る側としては価値がなくなってしまいます。分析データを渡したときには既に興味を失っていた、といったケースが頻発するようになり、誰もがデータを触れられるようにすることで、意思決定のスピードを上げようという機運が高まってきたのです」(前田さん)
この流れを受け、前田さんは従来型のエンタープライズBIツールを導入したが、あまりうまくいかなかったという。定型のデータ分析やレポーティングは効率化したものの、新たなリポートが必要になると、開発に時間がかかり「業務部門の多くの人が使うような、大きなうねりにはならなかった」と前田さんは振り返る。
この経験をもとに、前田さんは「ユーザーが自由にデータに触れるものを」とセルフサービスBIの導入に動き出した。その導入もすぐに認められたわけではなかった。
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