ブラインドサッカー日本代表が強くなったもう一つの理由:協賛金が5年で10倍に(1/3 ページ)
2015年9月2日〜7日に行われた「IBSA ブラインドサッカーアジア選手権 2015」で、第4位と健闘した日本代表。ブラインドサッカーの認知度が上がり、チームが強くなってきた背景には、選手の努力と彼らを支える運営体制のIT化があるという。
近年、ブラインドサッカーと呼ばれる視覚障がい者向けのスポーツが盛り上がりを見せている。
2015年9月2日〜7日に行われた「IBSA ブラインドサッカーアジア選手権 2015」で、日本代表は2016年のリオ・パラリンピック出場権を惜しくも逃したが、4位の好成績を残した。
チームが強くなってきているのは、もちろん選手たちの努力があってこそだが、チームを支える運営事務局側のIT化によるところも大きいという。ITは事務局の課題をどのような形で解決したのか。日本ブラインドサッカー協会の事務局長、松崎氏に話を聞いた。
苦戦していたスポンサー集め
日本ブラインドサッカー協会は「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」を理念に、2002年に設立された団体だ。
アイマスクを着用した状態で競技するブラインドサッカーは周りが見えないため、選手は転がると音が鳴るボールの音と、「ガイド」(コーラー)と呼ばれる指示者の声を頼りに試合を進める。
競技の主役は視覚障がい者だが、日本ブラインドサッカー協会では視覚障がい者に対する理解促進を目的に、健常者もブラインドサッカーの体験ができる場を週に1度設けている。個人や企業が研修の一環として体験会に参加することも可能だ。
この体験会はスポンサーを集める上でも重要な意味を持つ。実際にブラインドサッカーを体験してもらうことで、日本ブラインドサッカー協会の活動に対する理解が深まり、スポンサーとなってもらおうというわけだ。
今でこそ体験会を開催するたびに定員が埋まるが、協会を設立してからの数年はなかなか人が集まらず、月に1度の開催にとどまっていた。最初の数年は体験会への参加者集め、そしてスポンサー集めに苦労したと事務局長の松崎氏は振り返る。
「最初のころはがむしゃらにテレアポをしていたのですが、なかなか話が前に進みませんでした。自分たちを評価してくれる非営利団体や企業に継続的にアプローチしていく方が効果的なのですが、当時はそういった見込みのある団体や企業へ定期的に情報を送るなどのアプローチができていませんでした。頂いた名刺を生かす営業フローが確立できていなかったのです」(松崎氏)
当時、名刺交換をした相手への「お礼のメールを送る」「体験会の案内を送る」「試合の案内を送る」といった情報発信は、名刺を交換したスタッフ個人の判断に任せていた。しかし、「もらった名刺をそのまま机の引き出しの中にしまって終わり」というスタッフもいたため、眠っている状態の名刺も多くあったという。
日本ブラインドサッカー協会は、このような機会損失を減らし、営業を効率化させるために、交換した名刺情報を組織で一元管理することを決めた。そのきっかけとなったのが2011年に導入した名刺管理・共有サービスの「Sansan」だった。
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