第11回 Docker環境のバックアップをラクにする「Convoy」とは?:古賀政純の「攻めのITのためのDocker塾」(3/3 ページ)
Docker環境のバックアップ/リストアは、物理サーバやハイパーバイザー型の仮想化基盤に比べて、異なる点が多くあります。今回はDockerコミュニティーの間で注目されている「Convoy(コンボイ)」を紹介します。
Convoyの仕組みを少しだけひもとくと……
このような企業向けのバックアップ・ソフトウェアとしての特徴を持つConvoyですが、どのような仕組みなのでしょうか。Convoyは、「バックアップ・ソフトウェア」と言いましたが、厳密にはDockerにおけるストレージドライバのプラグインです。ストレージドライバは、Dockerが稼働するホストOS上でConvoyデーモンとして稼働し、様々なストレージ環境のボリュームのバックアップやリストア等の管理を行います。
ストレージ環境としては、NFS(ネットワーク・ファイルシステム)や、ローカルのファイルシステム(VFS:仮想ファイルシステム)、Device Mapper(ボリューム管理用のLinuxカーネル・ドライバ)、Amazon EBS(エラスティック・ブロック・ストア)をサポートしています。Convoyは、Docker環境に特化したツールですが、様々なストレージ環境への対応を目指していることが分かります。
基本的なボリュームの作成や削除については、ユーザーがDockerクライアント(dockerコマンド)を使って入力し、このコマンドをDockerデーモンが受け取り、Convoyデーモンに通知されて、ボリュームを管理します。また、データのバックアップやスナップショットなどは、Convoyによって提供されるコマンド(convoyコマンド)をConvoyデーモンが受け取り、ボリュームを管理する仕組みになっています。そのため、ユーザーは、dockerコマンドとconvoyコマンドを駆使して、ボリュームの管理を行います。
後編の次回は、具体的にconvoyの使い方を解説してみたいと思います。
(第12回はこちら)
古賀政純(こが・まさずみ)
日本ヒューレット・パッカード株式会社 オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト。兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師、SIを経験。2006年、米国HPからLinux技術の伝道師として「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。プリセールスMVPを4度受賞。現在は日本HPにて、Linux、FreeBSD、Hadoopなどのサーバー基盤のプリセールスSE、文書執筆を担当。Red Hat Certified Virtualization Administrator, Novell Certified Linux Professional, Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack, Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoopなどの技術者認定資格を保有。著書に「CentOS 7実践ガイド」「Ubuntu Server実践入門」などがある。趣味はレーシングカートとビリヤード
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