ITでゲリラ豪雨対策、“マンホール×センサー”で下水道氾濫を予知
ゲリラ豪雨時の下水道氾濫、ITの力で未然に防ぐ――。富士通研究所は、福島県郡山市と行っている実証実験で、センサーを使った下水道氾濫検知の有効性を確認したことを明らかにした。
ゲリラ豪雨時の下水道氾濫、ITの力で未然に防ぐ――。富士通研究所は、福島県郡山市と行っている実証実験で、センサーを使った下水道氾濫検知の有効性を確認したことを明らかにした。
富士通研究所では、大雨やゲリラ豪雨による都市部の被害軽減に向けて、下水道氾濫の兆候を検知する技術の開発を進めている。この技術は、水位計測機能を備えたセンサーをマンホールに組み込み、計測値から氾濫の兆候などを高い精度で検知するもの。郡山市と同研究所は2015年7月23日から、マンホールセンシングによるリアルタイム水位モニタリングの実証実験を実施してきた。
この実験では、郡山市の落合堀雨水幹線に沿ったマンホールと側溝などの蓋に3つの水位センサーを設置し、実測データを取得。マンホール内部からの無線通信を通じて下水道の水位情報を送信し、クラウドシステム上でリアルタイムにモニターした結果、ゲリラ豪雨発生時に下水道の水位が20分で2.2メートル上昇するという“下水道氾濫の兆候”の検知に成功した。水位の変化が数値化されたことで、排水計画の検証が可能になり、今後の浸水対策に生かせるようになった。
また、この実験では、自然環境から得られる小さなエネルギーを電力に変換するエネルギー・ハーベスティング技術の検証も並行して実施。富士通研究所は、温度差をエネルギーに変える高効率熱電モジュールを開発しており、今回の実験でセンサーを長期間、安定した状態で運用できるだけの発電量が得られることを確認したという。これにより、5年以上の電池交換作業が不要となり、ランニングコストの軽減とマンホール保守作業の負荷軽減が期待できるとしている。
富士通研究所は今後、実測データを解析して水位予測をより精度化し、2016年度中のセンシングシステムの製品化を目指す。また郡山市は、落合堀雨水幹線の排水計画の検証を行い、新たな浸水被害対策に生かすという。
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