シェアリングエコノミー型が牽引するオープンガバメント:ビッグデータ利活用と問題解決のいま(2/3 ページ)
2期8年目を迎えようとする米国オバマ政権が推進してきたオープンガバメント/オープンデータ推進策は、仕上げの段階に入ろうとしている。従来の電子政府戦略からどのように進化したのだろうか。
医療分野にみる流れ
同様の流れは、遺伝子プロファイルを利用して各個人に合った治療法を提供する「プレシジョンメディシン(精密治療)」の施策にも垣間見ることができる。個別化治療を提供するためには、遺伝子データと臨床医療データを紐づけしたビッグデータを構築し、分析することが必要であり、データの二次利用に関するインフォームドコンセントの取得、治療を受ける患者・家族の継続的な参加が欠かせない。
米国政府の第3次行動計画では、患者・家族のエンゲージメントを重視した施策となっている。特にプライバシー/個人データ保護に関しては2015年11月、ホワイトハウスが「プレシジョンメディシン・イニシアチブ:プライバシーと信頼の原則」(関連情報PDF)を制定するなど、ビッグデータイノベーションを推進する策の一環として制度的な仕組みづくりを先行させている点が注目される。
遺伝子医療や再生医療の臨床試験では、長期的視点に立った安全性評価体制(検診、記録・検体の保存など)が要求されるため、初期段階から規制当局と密なコミュニケーションを行いながら、リスクベースアプローチによる事前評価・計画策定を行わなければならない。研究の早期段階で法令・ガイドライン類が整備されていれば、後工程のデータ収集・分析になってから作業が中断したり、手戻りが発生したりするような事態を最小限に抑えることもできる。
日本の再生医療ではiPS細胞を患者に使う臨床研究の際に、細胞の安全性を評価する方法や手順などを定めた指針が存在せず、研究チームが判断する拠り所がなかった点が問題となり、現在は臨床研究指針の策定を急いでいるところだ(参考情報:再生医療等評価部会「iPS細胞等を用いた臨床研究を実施する際の移植細胞の安全性評価の在り方に係る研究」、2015年11月18日、関連資料PDF)。
こういった事態が起きないようなリスク管理もビッグデータ研究では必要となる。
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