FinTechって何ですか? 現場が抱える悩み:萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(1/2 ページ)
この1年であらゆる企業が関心を持ち始めた「FinTech」。銀行出身で全国の企業の現場を回る筆者がFinTechというトレンドを解説していく。
先日、「FinTech」に関する有料講演会を開催した。主催者の思惑通り予想以上の受講者が集まり、また開催したいので講演してほしいという。筆者はコンサルタントとして日本中を回っているが、ここ半年程度で企業の対応ががらりと変化したものが、このFinTechだ。最近でも次のような相談をいただいている。
「萩原さん、実は○○からあるファンドに出資しないかと言われた。このFinTechという、怪しげな言葉の意味について一通りの説明を受けたが、どうにも分からない。弊社がどうすべきか助言してほしい」(A社役員)
また、筆者が顧問をしている資金が潤沢なB社では取締役同士のいざこざが発生しているといい、間接的に関係があると、急に会議へ呼ばれた。内容は、やり手で知られる取締役のX氏がこの半年間で認めた投資案件について、ほぼ全ての新規案件に「FinTech」というバズワードが付いていたという。しかも全投資額が異常に増大しており、さすがのB社でも精査することになった。
その企業にとって筆者が数あるコンサルタント会社の一社員であるなら、「私は情報セキュリティのコンサルタントです。FinTechについては個別具体的に情報セキュリティに関する部分で仕事を引き受けますが、その整理はついていますか?」と言うだろう。
しかし現状は個人でコンサルを受けており、依頼する企業の多くがこのFinTechにどう向き合うべきについて頭を悩ませて、筆者に相談される。筆者も個人として契約されているため上述のような回答はできないし、興味もあるので内々に勉強してきた。そうしていくうちに、FinTechというものが他のITのバズワードと違ってどうにも全体概要をつかみ切れない、一種のもどかしさを感じていた。
恐らく読者の皆さんの会社でもFinTechが話題になっていることだろう。ある調査会社によれば、2020年までにFinTech関連の投資が400億ドルを超えるとか、全体の投資額がここ数年で1兆ドルになるとか、そんな過熱ぶりだ。だが、おかしい。多くの日本人にとってよく分からないFinTechの定義は何なのか。筆者はさまざまな専門家の話を聞いたり、記事を読み漁ったりしているが、セミナーで講演をしながら適切な解釈ができないでいる。
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