米国に見るクリーンエネルギーでのビッグデータ活用と地域振興:ビッグデータ利活用と問題解決のいま(4/4 ページ)
COP21で「パリ協定」が採択され、米国での地球温暖化対策が注目されている。同国におけるクリーンエネルギー分野でのビッグデータを活用した地域経済振興策とはどのようなものか。
パリ協定をにらんだオースティン発グローバル・イノベーションへ
歴史的にテキサス州は、米国内における原油・天然ガスの生産基地としての役割を果たしてきたが、地球温暖化対策を重視する観点から、オースティン市はオースティン・エネルギーの電力供給計画の中で、2013年に1010メガワット(MW)だった再生可能エネルギー(風力:850MW、バイオマス:112MW、太陽光:48MW)を、2020年には1509MW(風力:1197MW、太陽光:200MW、バイオマス:112MW)まで引き上げる方針を打ち出している(関連情報)。
オースティン・エネルギーの電力供給計画:2013年実績と2020年予測(出典:Austin Energy「INVESTING IN A CLEAN FUTURE: Austin Energy’s Resource, Generation and Climate Protection Plan to 2020 Update、2014年12月)
国際エネルギー機関(IEA)によれば、パリ協定が設定した目標を達成するためには、2030年までに再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率向上向けに16兆5000億ドル(約2000兆円)の支出が必要となるとしている。各国政府にとって森林破壊の防止、化石燃料依存度の引き下げと並び、クリーンエネルギー生産のインセンティブ提供は重要なテーマとなっている。
さらに2016年1月12日、オバマ大統領が行った一般教書演説の中でも、クリーンエネルギー分野のイノベーション/投資が政策の柱として掲げられた(関連情報)。米国政府は、スマートグリッド・プロジェクトにおけるビッグデータ利活用の実績を踏まえ、クリーンエネルギーを含むスマートシティ全体におけるモノのインターネット(IoT)の利活用にフォーカスしている。
オースティン発のクリーンエネルギー関連ベンチャー企業の研究開発領域もビッグデータからIoTへと拡大し、マッチング対象企業の広域化・グローバル化が進んでいる。日本企業にとっても、有力な戦略的提携先として今後が期待されるところだ。
次回はエネルギー、ヘルスケアと並んで、オープンデータの有効活用が期待される教育分野を取り上げる。
著者者紹介:笹原英司(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身、千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所などでビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。
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日本クラウドセキュリティアライアンス ビッグデータユーザーワーキンググループ:
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