米国に見るクリーンエネルギーでのビッグデータ活用と地域振興:ビッグデータ利活用と問題解決のいま(3/4 ページ)
COP21で「パリ協定」が採択され、米国での地球温暖化対策が注目されている。同国におけるクリーンエネルギー分野でのビッグデータを活用した地域経済振興策とはどのようなものか。
エネルギーを起点とする地域イノベーション推進プラットフォームへの進化
エネルギー省は2014年1月、景気浮揚策の次なるステップとしてクリーンエネルギー関連技術の事業化をめざす中小企業や起業家を支援する投資プログラム「クリーンエネルギーのための国家インキュベーター戦略(NIICE:National Incubator Initiative for Clean Energy)」を公表した(関連情報)。
NIICEは、米国各地域のインキュベーターと連携しながら、起業家や産業界のマッチングを支援する「全米調整局」(National Organization)と、現場レベルでスタートアップ企業に対して事業計画策定支援や資金調達支援、アクセレレータープログラムを提供する「クリーンエネルギー・インキュベーター」から構成される。
NIICEの助成対象プログラムに選定された1つが、テキサス大学オースティン校のオースティン・テクノロジー・インキュベーター(ATI、関連情報)をコーディネーター役とする「サウスウエスト地域クリーンエネルギー・インキュベーション・イニシアティブ」(SRCEII)である。
SRCEIIは、テキサス州やニューメキシコ州のクリーンエネルギー関連スタートアップ企業向けに、テキサス大学オースティン校が有するインキュベーターネットワークを提供するとともに、テスティング/プロトタイピングの場として、前述のピーカンストリート・プロジェクトなどの既存設備・リソースを提供する。
他の地域と比較してSRCEIIの特徴は、「シリコン・ヒル」と呼ばれるオースティンに蓄積された先端技術と、ライブミュージックの聖地から生まれた米国最大級のビジネスイベント「SXSW」(サウス・バイ・サウスウエスト)に代表される独自のカルチャー、そして、テキサス大学オースティン校の持つ、強固な科学技術商用化プラットフォームだ。
ATIは設立以来250社を輩出し、それらの企業の調達総額を日本円に換算すると1000億円を上回る規模になっている。また大学の研究成果の商用化も活発で、年間収入は世界のトップクラスと肩を並べる規模だ。最近は日本の大学・研究機関との交流が活発になっている。
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