“勝手に成長していく”メンバーの育て方とは?:プロマネ1年生の教科書(1/2 ページ)
成長しやすいメンバーと成長しにくいメンバー。両者にはシンプルな違いがあります。それは「経験から学べるかどうか」という点です。それではメンバーが経験から学べるようにするには、どうすればいいのでしょうか。
連載:プロマネ1年生の教科書
現代のプロジェクトマネジャーは、昔よりも難しいといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分は向かない」と自信を失うこともあるでしょう。この連載は、プロマネになりたての人や、役職に就いたが“やることが山積みで、関係者の間で日々翻弄されている”人が、限られた権限やリソースの中で「ヒューマン/ビジネススキル」を使ってチームをよい状態へ導くことをテーマに、さまざまなスキルや活用法をご紹介します。
プロジェクトマネジャーにとって、メンバーの育て方は悩み多き問題。前回の記事では、「全員平等に面倒を見ることが、正しいとは限らない」というお話をしました。メンバーの特性に合わせて手のかけ方をコントロールすることで、効率のいい育て方ができるのです。
さて、今回は成長を期待する全てのメンバーに対して、押さえておきたい共通のポイントをご紹介します。それは、“手をかけなくても成長していくための条件”です。
すぐ伸びる人となかなか伸びない人には、シンプルな違いがあります。「経験から学べるかどうか」という点です。多くの優秀なマネジャーを調査した結果、業種や職種を問わず、以下の「経験から学ぶ力モデル」を意識的(または無意識的)に行っていたことが分かりました。なので、成長してほしいと思っているメンバーには、このモデルの実践者になれるようサポートするとよいのです。
挑戦し、振り返り、楽しみながらを仕事する
端的に言うと、「思い(仕事をする上でのこだわり)」と「つながり(人的なネットワーク)」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができるというわけです。それではまず、円の外側の3要素を簡単に説明すると次のようになります。
ストレッチ(挑戦する力)
仕事でも経験でも、何かする場合には少し“背伸び”した内容に取り組むこと
リフレクション(振り返る力)
経験したことに対し、きちんと振り返りを行い、次へと生かすこと
エンジョイメント(楽しむ力)
仕事の意義や達成感を感じ、仕事を楽しむこと
もちろんメンバー本人が、3つの要素を感じられるように自身の仕事をコントロールできるのが一番良いのですが、日々の業務に忙殺され、そこまで気が回らない人も多いのが普通でしょう。そこでプロマネの出番です。メンバーがこの3要素を実感できるように働きかけ、成長を促します。
それでは、各要素についてどのような働きかけがあるか、次ページで紹介していきます。
関連記事
- タイプ別、プロジェクトメンバーの効率的な育て方
プロジェクトメンバー全員の面倒が見れて、育てられればベストだけどそんな時間も余裕もない――。そんな迷えるプロマネのアナタに、4タイプに分けた部下の育て方を伝授します。 - なぜ人は積極的に仕事に取り組まないのか
仕事やタスクをメンバーにアサインするのも、プロマネの大事な仕事です。ですが、思ったように積極的に取り組んでくれない……と悩む人も多いのではないでしょうか。今回は人のモチベーションを左右する5つの要素についてご紹介します。 - 対人スキルに優れたプロマネが使いこなす“7つ道具”
プロマネは「人間に関するプロフェッショナル」といわれており、他者とうまく交流できる行動や考え方、スキルを持つことが、優秀なプロマネに近づくための要件と言えます。こうした資質は大きく7種類に分類できます。 - プロマネに“向かない人”っているの?
現代のプロマネは、昔よりも難しくなっているといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分はプロマネに向かない」と自信を失う人もいるかもしれません。では、そもそもプロマネが発揮すべき資質やリーダーシップとは何なのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.