2016年のWindows 10アップグレードはどうなるか?:Enterprise IT Kaleidoscope(2/2 ページ)
2015年に初の一般提供とアップグレードが行われたWindows 10。2016年はどんな展開が予定されているのだろうか。未確認情報も含めて占ってみたい。
ARM版で64ビット化?
また、Windows 10 Mobileの64ビット化も予定される。現在リリースされているWindows 10 Mobileは32ビットだ。しかし、iOSやAndroidなどが64ビット化しており、Windows 10 Mobileも64ビット化が必要とされていた。ただし64ビット化されても、ユーザーにとって大きな変化はないだろう。Windows 10 MobileとWindows 10は、同じOSのコードが使用されている。デスクトップやノートPCのカテゴリーでも、64ビットARM版のWindows 10がリリースされるらしいとの噂もある。
しかし、過去にSurface RTでARM版のWindowsがうまく行かなかったことを思えば、デスクトップ/ノートPCなどにARM版Windowsが提供されるとは考えづらい。むしろ、こうしたコンシューマー領域より、同じコードを使っているWindows Server 2016では高集積度サーバ(Webのフロントサーバなど)向けに提供される可能がありそうだ。このあたりは、64ビットARMの性能と普及具合によって、Microsoft自身が参入する可能もある。
未確認情報だが、Windows 10 Mobileにx86/x64版が提供されるようだ。現在AsusのZenFoneなどでは、AtomプロセッサとAndroid OSの組み合わせで提供されているので、ハードウェアとしてはX86/x64プラットフォームは存在する。
もし、x86/x64版のWindows 10 Mobileがリリースされれば、Windows 10 MobileのContinuumモードでWin32のアプリケーションを動かせるかもしれない。こうなれば、出張先や外出先で外部ディスプレイさえあれば社内のデスクトップPCと同じ環境が手に入る。ただし、Atomプロセッサという点を考慮すれば、高いレスポンスを要求する作業環境には向かないだろう(メインメモリ容量やストレージ容量なども関係する)。
もう一つ、5インチ〜8インチまでのファブレットも、ARMプロセッサではなくAtomプロセッサを使用した製品が出てくるかもしれない。
ここまでRedstoneに関する未確認情報も含めて紹介したが、企業のIT管理者にとっては、ここ数年のうちにWindows 10への移行が大きな課題になるだろう。
個人的には、Windows 10と高い親和性を持つWindows Server 2016の導入と合わせて、クライアントOSのリプレースを図るのが、最も方法ではないかと思う。Windows Server 2016が2016年中盤にリリースされることを考えれば、さまざまなテストを経て2017年に予算を確保し、2017年もしくは2018年にリプレースを実行するというのが現実的なスケジュールになりそうだ。
またWindows 10に移行したとしても、2015年版のWindows 10(Threshold)、2016年版のWindows 10(Redstone)など、Windows 10の時期による違いが出てくる。これからは、こういったブランチが毎年続いていくわけだ。Windows 10でもブランチの違いを認識したIT管理が必要になる。
Windows 10 Mobileは普及している状況ではないため、コンシューマーユーザーが利用するアプリなどもほとんどそろっていない。だが、業務利用なら少数のアプリでも十分だろう。
それに、Windows 10 Mobileは、一部のNexusシリーズを除くほとんどのAndroidスマートフォンとは違って、Microsoftから毎月セキュリティパッチが配信されるため、セキュリティ面で安心できるだろう。デスクトップ/ノートPCなどのWindows 10と全く同じ管理ができるWindows 10 Mobileのスマートフォンの業務利用にはメリットがあるといえる(逆にいえば、コンシューマー用途には物足りないが)。
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