米WIRED、広告ブロックユーザーに提案──ホワイトリスト化か有料版か
米IT系メディアのWIREDが、広告をブロックする読者の増加を受け、週額1ドルの有料版立ち上げを発表した。広告ブロックブラウザのユーザーは、有料版に登録するか、WIRED.comをホワイトリスト化しなければ、コンテンツへのアクセスを制限されるようになる。
米IT系メディアのWIREDは2月8日(現地時間)、Webブラウザで広告ブロック機能を有効にしている読者に対し、向こう数週間中に記事へのアクセスを制限すると告知した。広告ブロック機能を使いながら記事を読み続ける方法も提示している。
この告知は、広告ブロック機能を有効にしている読者にのみ表示されるバナーをクリックすると表示される。下の画像は、Waveブラウザで表示したWIREDのページだ。右上に告知が表示されている。
現在、WIREDの読者のうち、平均20%以上が広告ブロック機能を使っているという。広告ブロックを使いたいのは分かるし、読者はWIREDの記事を読みに来てくれていることも分かるが、広告がなければWIREDを運営できない事情を理解してほしいと訴える。
広告ブロックを有効にしたままWiredを読み続けるには、以下の2つの方法のいずれかを選ぶ。
- 広告ブロックのホワイトリストにWIRED.comを追加する
- 新たに立ち上げる広告なしの有料版に加入する(週額1ドル)
ホワイトリストに登録すると、WIRED.com上の広告は表示されるようになる。WIREDは、「可能な限り“お行儀よく”するので、表示されるのは標準的なディスプレイ広告だけだ」としている。
有料版に登録すれば、完全に広告は表示されず、広告のためのトラッキングもされない。
WIREDは23年の歴史の中で、紙の雑誌から初のWebメディアとなり、バナー広告を発明してきたという。今後も健全な運営を保ちながら読者に愛されるコンテンツを提供し続ける新たな方法を探求していくとしている。
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