ウェアラブルデバイスなしでも「自分の疲れ」を可視化するIT:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
長い時間の作業に集中していると、突然「少し休んでください」とディスプレイに出てきました。「ウェアラブル時代」には意外な方法で「疲れ」を教えてくれるモノとは。
鳴り物入りで登場したウェアラブルデバイス、いまどうしてますか?
思えば世は「ウェアラブル時代」。Apple WatchやAndroid Wearなどのスマートウォッチが登場し、発売時には大きな話題になりました。ところが、いまはその話題も沈静化し、「便利だ!」という声もほとんど聞こえてきません。
もう一つ、ウェアラブルといえば歩数や心拍数などを計測する、健康のため、フィットネスのための活動量計としてのデバイスはいまも多くのスポーツ愛好家に支持されているように見えます。装着しているだけで自分の疲れや運動量が蓄積され、それを後から確認できるのは確かにうれしいですね。そのためには小さく軽いリストバンド型デバイスを身に付けるだけ。でも、その身に付けるという行為すらおっくうという人も多いでしょう。
そういう意味で、活動量をこれまで使っていたもので測るというのは、とても面白い仕組みだと思います。
例えば、メガネなどのアイウェアを販売するJINSが提供する「JINS MEME」などは、見た目が完全に普通のメガネであるにもかかわらず、まばたきの回数や頭の動きから疲れや眠気を検知し、スマートフォンにアラートを送ります。最初の発表会を聞きに行ったときには「インターネットからの情報をAR技術を使い目の前に立体表示させる!」的なSFチックなデバイスを想像していただけに、その潔さに本当に驚いたものです(関連記事)。
ITストレスと向き合うための「ウェアラブル」ならアリ
先の漢字かな変換アプリがこんな「健康のための」機能を付けたことは、普通に考えると「また余計なことを……」と思うかもしれません。しかしよく考えると、PCを使ってITを活用する人にとって、一番近い部分はキーボード。そこから、利用している人の状態を測る仕組みを取り入れたというのはなかなか面白い試みだと思います。個人的にはこの画面に出てきた数値自体で判断すると言うよりも、やっぱり1時間に一回程度、どこかで休憩を取るきっかけになる仕組みだと思いました。そういった「ITを使わせないためのウェアラブル」なら、スマートウォッチ以上に興味があります。
先日、厚生労働省から「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」が公開されました。これは2015年12月1日から施行されたストレスチェック制度に合わせたものです。特にITに携わる方にとって、ストレスコントロールは意識して取り組まなければならないものかと思います。皆さんもぜひ、定期的に休憩を取り、ストレスをためないようにしてください。このコラムが皆さんの息抜きになることを……。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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