「Firefox OS」の父、スマートホームプロジェクト「Sense」立ち上げ
MozillaのCTOを昨年6月に辞めてIoT企業Silk Labsを創設したアンドレアス・ガル氏が、スマートホーム端末「Sense」のプロジェクトをKickstarterで立ち上げた。監視カメラにもなるスマートハブだ。
Mozillaで「Firefox OS」を手掛けたアンドレアス・ガル氏率いる米Silk Labsは2月16日(現地時間)、IoT(モノのインターネット)技術によるスマートホーム製品「Sense」のプロジェクトを米Kickstarterで立ち上げた。製品出荷は11月の予定で調達目標額は10万ドル(約1140万円)。
ガル氏はMozillaでFirefox OSや「Servo」などのプロジェクトの中心になり、2014年4月にMozillaのCTO(最高技術責任者)に就任した。昨年6月、「IoTの新企業を立ち上げる」としてMozillaを離れ、同僚のクリス・ジョーンズ氏、米Qualcommの元プリンシパルエンジニアのマイケル・ヴァイン氏とともにSilk Labsを立ち上げた。
Senseは、スマートホーム製品のハブになる端末。米Amazonの「Echo」のように、電灯やサーモスタット、テレビなどの他のスマートホーム製品を制御する。また、カメラやマイク、スピーカーを備え、米Alphabet(Googleの親会社)傘下のNestの「Nest Cam」のような監視カメラとしての役割も担う。
Silkの独自プラットフォームを搭載し、家族の各人を声や顔で認識して状況に合わせた環境(電灯をつけたり好みの室温にしたり、好きな音楽を流したり)を作る。Silkは各人の行動パターンを学習するので、自分の好みを入力しなくても、環境を自動的に設定する。BluetoothとWi-Fiで接続し、例えばペットにタブをつけておけば、ペットの居場所も追跡する。
ライブ動画を含む記録データはクラウドではなくSenseの16GBのフラッシュストレージに暗号化して保存する。ライブ動画は指定したスマートフォンでチェックでき、そのストリーミングも暗号化される。
既存のスマートホーム端末のように「冷たく、親しみにくく、全く魅力的でない」ものと一線を画すため、デザインにこだわったという。ストレージ部分のケースには木材を使う。
同社はアプリ開発者に、Silk対応アプリの開発を呼び掛けている。「Firefox OSを立ち上げたわれわれは、開発者向けのシンプルなツールやAPIの重要性を理解している」という。
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